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02月26日-03号

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  1. 京都市議会 2019-02-26
    02月26日-03号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    平成31年  2月 定例会     平成30年     定例会       京都市会会議録 第3号     平成31年2月市会                    平成31年2月26日(火曜日)出席議員(66名)   1番 森 かれん議員   2番 菅谷浩平議員   3番 こうち大輔議員   4番 やまずまい子議員   5番 大西ケンジ議員   6番 豊田貴志議員   8番 山本陽子議員   9番 平井良人議員  10番 やまね智史議員  11番 江村理紗議員  12番 大津裕太議員  13番 宇佐美けんいち議員  15番 西山信昌議員  16番 かわしま優子議員  17番 国本友利議員  18番 山本ひろふみ議員  19番 平山たかお議員  20番 寺田一博議員  21番 西村善美議員  22番 ほり信子議員  23番 山田こうじ議員  24番 森田ゆみ子議員  25番 村山祥栄議員  27番 森川 央議員  28番 安井つとむ議員  29番 青野仁志議員  30番 平山よしかず議員  31番 吉田孝雄議員  32番 湯浅光彦議員  33番 加藤昌洋議員  34番 森田 守議員  35番 田中たかのり議員  36番 みちはた弘之議員  37番 くらた共子議員  38番 河合ようこ議員  39番 樋口英明議員  40番 加藤あい議員  41番 赤阪 仁議員  44番 天方浩之議員  45番 中野洋一議員  46番 隠塚 功議員  47番 山岸たかゆき議員  48番 曽我 修議員  49番 久保勝信議員  50番 しまもと京司議員  51番 椋田隆知議員  52番 下村あきら議員  53番 西村義直議員  54番 吉井あきら議員  55番 田中明秀議員  56番 山本恵一議員  57番 山中 渡議員  58番 井坂博文議員  59番 北山ただお議員  60番 玉本なるみ議員  61番 西野さち子議員  62番 井上けんじ議員  63番 鈴木マサホ議員  64番 大道義知議員  65番 ひおき文章議員  66番 津田大三議員  67番 中村三之助議員  68番 橋村芳和議員  70番 繁 隆夫議員  71番 富 きくお議員  72番 井上与一郎議員欠席議員(なし)欠員(1名)   議事日程   開議日時 平成31年2月26日午前10時第1 請願の付託及び陳情の回付第2 議第1号ないし議第67号,議第69号ないし議第74号,議第76号ないし議第107号,議第110号,議第111号,議第263号及び議第266号ないし議第274号 平成31年度京都市一般会計予算 ほか116件第3 議第68号 京都市専用水道の水道技術管理者の資格に関する条例の一部を改正する条例の制定について第4 議第75号 京都市児童福祉法に基づく事業及び施設の人員,設備及び運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第5 議第108号 指定管理者の指定について(京都市下京いきいき市民活動センター)第6 議第109号 指定管理者の指定について(京都市中央青少年活動センター(京都市北青少年活動センター,京都市東山青少年活動センター,京都市山科青少年活動センター,京都市下京青少年活動センター,京都市南青少年活動センター及び京都市伏見青少年活動センターを含む。))第7 議第258号 平成31年4月30日等における公の施設の供用等に関する条例の制定について第8 議第259号 京都市国際親善交流基金条例の一部を改正する条例の制定について第9 議第260号 京都市京北パラグライダー施設条例を廃止する条例の制定について第10 議第261号 京都市重度心身障害者医療費支給条例の一部を改正する条例の制定について第11 議第262号 京都市緑化・公園管理基金条例の一部を改正する条例の制定について第12 議第264号 市道路線の認定について第13 議第265号 市道路線の廃止について第14 議第252号ないし議第257号及び議第275号 平成30年度京都市一般会計補正予算 ほか6件(予算特別委員長報告)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○副議長(湯浅光彦) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。加藤昌洋議員と森田ゆみ子議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(湯浅光彦) 日程に入ります。 日程第1,請願の付託及び陳情の回付を行います。 今回受理いたしました請願7件及び陳情3件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(湯浅光彦) 日程第2,議第1号ないし議第67号,議第69号ないし議第74号,議第76号ないし議第107号,議第110号,議第111号,議第263号及び議第266号ないし議第274号平成31年度京都市一般会計予算,ほか116件,以上117件を一括議題といたします。 昨日の議事を継続し,質疑を続行いたします。 曽我修議員に発言を許します。曽我議員。 〔曽我修議員登壇(拍手)〕 ◆(曽我修議員) 伏見区選出の曽我修でございます。公明党京都市会議員団を代表し,青野仁志議員,西山信昌議員と共に平成31年度予算案について質疑させていただきます。市長並びに関係理事者におかれましては,何とぞ明快な答弁をよろしくお願いいたします。 質疑に入らせていただく前に,本年,公明党は結党55年を迎えます。30年続いた平成の元号が改められ,新しい時代の幕開けとなりますが,公明党はいかなる時代でも,大衆と共にの立党精神を貫き,衆望を担う使命を果たし,多様な人々の期待に応え抜いてまいります。 さて,昨年は,大阪北部地震,西日本豪雨,北海道胆振東部地震,台風などの災害が相次ぎました。公明党は結党以来,福祉の党を掲げ,社会保障は今や人間の安全保障の柱の一つとして政治の主流となりました。そして現在,本格的な少子高齢化・人口減少社会の到来という構造変化の中で,持続可能で子供から高齢者までが安心できる全世代型社会保障制度の構築が喫緊の課題となっております。その財源として消費税の果たす役割は極めて重要です。今年10月には消費税率が10パーセントに引き上げられ,公明党が主張してきた幼児教育の無償化が実施されます。さらに,来年4月からは低所得者層を対象とした大学など高等教育の無償化や,私立高校授業料の実質無償化もスタートいたします。公明党が他党に先駆け取り組んでまいりました教育の無償化という若者支援の大きな流れを作り出すことができました。一方,高齢者に対する支援も拡充されます。低年金者への月最大5,000円の加算や,低所得高齢者の介護保険料の軽減強化も10月から実施されます。また,健康づくりや介護予防など健康寿命・活動寿命を延ばし,就労や地域貢献などで意欲ある高齢者の活躍を後押ししてまいります。いよいよ,4月の統一地方選挙まで,後40日足らずと迫ってまいりました。そして夏の参院選挙,市民の皆様にしっかりと寄り添い,誰一人取り残さない社会の実現に取り組んでまいります。 それでは質疑に移らせていただきます。平成31年度予算案について,門川市長にお伺いいたします。誰一人取り残さない持続可能なまちを実現する予算と銘打たれたこの度の予算案ですが,文字どおり,昨年の相次ぐ自然災害に対して,市民の命と暮らしを守ることを最優先にされた予算だと思います。まず,30年度は100億円,31年度は26億円もの予算を投じ,生活基盤の復旧,被災者支援に取り組んでいただいております。また,政府の防災・減災,国土強じん化のための3箇年緊急対策による財源も活用した河川改修,雨水幹線整備,橋りょうの耐震化など防災・減災に向けた対策は待ったなしの状況です。しっかりと取り組んでいただきたい。 少子化・子育て対策など社会福祉関連経費を前年度から93億円の増額を確保。府市協調により,子ども医療費支給制度が拡充されることは,子育ての経済的負担を軽減し,安心して子育てができると市民の皆様から喜びの声が数多く寄せられており,大いに評価をいたします。 市バス事業については,全国的なバス運転士・整備士の担い手不足の影響や軽油価格の高騰などにより,平成20年度以来となる赤字予算となったことは誠に残念です。これまで以上に増収増客に全力を挙げていただき,決して安易な運賃値上げなどは実施せず,市民の足をしっかりと確保することを強く要望いたします。 31年度予算案における歳入面では,国の経済対策と呼応し京都経済も順調に進展し,市民税や固定資産税が堅調に推移する中,人件費削減や事業見直しなどスクラップ・アンド・ビルドに取り組んでいただいてもいまだ128億円の不足が生じております。そのため,公債償還基金の取崩しや行財政改革推進債の発行などを充てられております。このように大変厳しい財政状況は依然として続いております。 一方で,宿泊税の増額分を充てて実施する事業は42億円が計上されております。中身につきましては混雑対策・分散化に8.7億円,民泊対策に1.4億円,宿泊事業者支援・宿泊観光推進3.9億円などとなっておりますが,市民,観光客,そして観光関係事業者が宿泊税導入による効果がしっかりと実感できるよう取り組んでいただきたいと思います。 昨年,私たち公明党京都市会議員団は,平成31年度予算編成に当たり222項目を提案させていただきました。この予算案においても221項目を予算措置等に取り組んでいただき,残り1項目についても要望の趣旨を踏まえ検討するとの回答を頂いており高く評価いたします。市長におかれましては,誰一人取り残さないとの覚悟で市政運営をよろしくお願いいたします。そこで,門川市長3期目,最終年となる31年度予算編成ですが,市長の御決意をお聞かせください。 次に,京都市レジリエンス戦略の推進についてお伺いいたします。私たち公明党京都市会議員団が昨年2月,門川市長に対し2030年を目標年次とする国連の持続可能な開発目標,いわゆるSDGsについて,京都市においても強力に推進されるよう提言を行ってから丁度1年になります。その間の京都市での取組により,日本経済新聞の全国市区・サステナブル度・SDGs先進度調査において京都市が全国1位となりました。私ども公明党京都市会議員団はもとより,門川市長も様々なイベントや会合において紹介をされ喜びを表しておられます。しかし,全国1位になること自体が重要なのではなく,京都市の抱える課題を解決し,持続可能な誰もが暮らしたいまち,誰もが活力あるまちの実現に向けて,引き続き取組を進めてもらいたいと考えます。そのためにはレジリエンスの考え方がとりわけ重要と考えます。現在,「京都創生総合戦略・レジリエンス・SDGs」推進本部の下,一体的に取組を進めておられますが,危機にしなやかに対応し発展し続けるレジリエンスの考え方に基づき,京都市の全ての分野の政策を推進していくことがSDGsの目標を達成し,持続可能な京都のまちを作っていく基礎となるものだと思います。また,政策の縦割りや硬直性,行政主導による対策の限界などのぜい弱性をなくすため,レジリエンスの視点から継続的に政策・施策を点検,強化することも重要です。さらに,京都が誇る地域力・市民力をいかして,危機が付け入る隙間をなくしていくことに,しっかりと取り組まなければなりません。 今年度中に京都市レジリエンス戦略を策定するとのことですが,この戦略は,行政の取組指針であると同時に,市民の価値観やライフスタイルの転換を呼び掛けるものでもあります。私の所にも,レジリエンスがよく分からないという意見が届いておりますが,戦略推進の当事者として,市民・企業・大学などを巻き込むことが重要であり,そのためには,現在策定中の京都市レジリエンス戦略について,市民などにレジリエンスの考え方をしっかり浸透させる必要がございます。さらには戦略自体は取組の大きな方向性を示すものにとどまるため,今後は具体的な行動に結び付くような仕掛けづくりが必要となってまいります。戦略策定を機に,京都市の強みをどういかし,弱みをどう克服するため,どのように今後取り組まれようとされるのか,お答えください。 次に,地球温暖化対策についてお伺いいたします。2015年に採択され,2016年に発効したパリ協定は,京都市からも派遣された昨年12月のCOP24において実施ルールが合意され,いよいよ2020年に本格実施となります。本市では1997年のCOP3開催,京都議定書採択以降,全国初となる地球温暖化対策に特化した条例を制定するなど,持続可能な社会の実現に向け,先進的な取組を進めてこられました。先ほども御紹介しましたが,各都市のSDGsの取組に関する調査結果において,環境の視点に限定しても2位と高い評価を受けております。これは先進的な地球温暖化対策やごみの減量,また,歩くまち・京都の推進など,経済・社会・環境の分野を横断する課題に対し,SDGsの理念を踏まえ,庁内のあらゆる部署が連携して取組を進めた結果であり,市民にとっても大変喜ばしいことであります。 一方で近年,豪雨や猛暑など,地球温暖化が一因と考えられる災害が続いており,こうした影響に対応するため,平成30年6月に,国において,気候変動適応法が制定されました。これは自治体にも努力義務として,適応計画の策定や地域の拠点となる地域気候変動適応センター・仮称の確保を求めております。本市においても,昨年は7月豪雨や連日の猛暑日などにより,土砂崩れや熱中症など多くの被害が出ていることから,市民の皆様の生命や財産を守るためにも,一層の温室効果ガス排出量の削減と地球温暖化に伴い,既に起こっている,あるいはこれから起こり得る影響への対応にしっかりと取り組むことが急務となっております。現在,京都市では,地球温暖化対策条例及び地球温暖化対策計画に基づいて計画的に取り組んでいただいているところでありますが,まずはこの条例及び計画の当面の目標である2020年度までに温室効果ガスの25パーセント削減に向けて全力で取り組んでいただきたいと思います。そのうえで,パリ協定では,今世紀後半の温室効果ガス排出量実質ゼロを目指しており,その達成に向けては,世界の温室効果ガスの4分の3を排出している都市が主体的な役割を担う必要があります。こうした中,世界の温暖化対策に大きな影響力を持つIPCC・気候変動に関する政府間パネル総会を誘致され,今年5月に京都市で開催される運びとなりました。 そこで,パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に向け,IPCC総会の開催も契機とし,市民・事業者と共にどのように地球温暖化対策を展開していくのか,本市での気候変動適応法を見据えた適応計画の策定や地域気候変動適応センター・仮称の設置など,世界をリードする都市の市長として,その覚悟,お考えをお伺いいたします。 次に,区役所サービスの向上に向けた取組についてお伺いいたします。京都市においては,平成27年度にマイナンバー制度が導入され,平成28年度には戸籍事務のコンピューター化が完了いたしました。こうした区役所の窓口を取り巻く環境の変化を受け,平成30年4月に区役所窓口サービス向上プランが策定され,窓口サービスの向上と業務の効率化という二つの基本方針の下,取組の柱として,証明書のコンビニ交付の実施と証明書発行コーナーの統合,総合受付窓口(仮称)創設をはじめとした区役所窓口の再編及び効率的な執行体制の整備を推進することとされております。区役所窓口サービス向上に向けた取組について,総合受付窓口については,昨年の7月に,文化環境委員会の他都市調査として,豊島区役所の総合窓口を視察しましたが,フロアマネージャーを配置し,来庁者に積極的に声を掛け丁寧な対応がなされており,大変参考になりました。本市の窓口サービスについては,昨年12月に,来庁者窓口サービスアンケートの実施結果の速報値が発表され,区役所・支所では,挨拶,声掛けや説明の分かりやすさなど7項目全てについて,満足度が95パーセント以上と過去最高となり,市民から対応が良くなったと評価されております。各区長を先頭に職員の皆さんが一丸となって頑張っておられる結果だと思います。来年度,右京区をモデルとして,フロア案内や総合受付窓口等の試行実施に取り組むとされておりますが,今後,その試行実施を受け伏見区や左京区といった大規模な区役所にも是非展開していただくよう要望させていただきます。 そこで,お尋ねいたします。今後,窓口サービスの向上と業務の効率化という二つの基本方針を実現するためにどのように対応していくのか,お答えください。 これまでから我々公明党は,証明書のコンビニ交付サービスの実施を推進してまいりました。平成27年の9月市会に市長総括質疑において,下京区選出の西山信昌議員が,また,左京区選出の国本友利議員が,11月市会代表質問において導入に向けた積極的な検討を求めてまいりました。本市においても,ようやく本年1月15日からコンビニ交付サービスがスタートすることができたところであり,市民の皆様にしっかりとコンビニ交付サービスを周知・広報をよろしくお願いいたします。市民の皆様にコンビニ交付サービスの利便性を実感していただくためには,更なるマイナンバーカードの普及が必要です。現在,本市においては交付率が13パーセントにとどまっている状況と伺っております。普及率向上に向けた一層の手立てが必要と考えますが,今後どのように取り組んでいこうとされるのか,お答えください。 最後に,地域経済の活性化に資する都市公園の積極的な利活用についてお伺いいたします。既に御存じのとおり,平成29年6月の都市公園法の改正により,民間活力による公園の再生・活性化を進めようという公募設置管理制度,いわゆるパークPFIが創設されました。これまでから,我が会派の平山よしかず議員,また国本友利議員など代表質問で取り上げてまいりました。本市においても,昨年の9月市会で関係条例の改正が行われたところであります。本市もその第一弾として,大宮交通公園においてパークPFIを導入した再整備が計画されており,現在,事業者の選定に向けた取組が行われているところでございます。 市内にある約900箇所,面積で言えば約650万平方メートルにも及ぶ都市公園については,その維持管理に公園愛護協力会をはじめ,市民の皆様に御尽力をいただいておりますが,その一方で,多大な労力や,そしてまたコストの発生,老朽化の進行,また,公園として十分に利用されていないものも見受けられるわけであります。私はかねてから,これらの公園の積極的な利活用は,市民生活の更なる向上はもちろんのこと,京都に訪れる観光客の皆様にも憩いの場となり,本市が住む人,訪れる人にとって更に魅力ある都市となるための大きな一助になると考えておりました。パークPFIは,公園利用者の利便性が向上するにぎわい施設等の設置のみならず,園路・広場等の公園施設そのものの整備を一体的に行うことができます。また,公園施設の更新に掛かるコスト縮減はもとより,地域の魅力も大きく向上いたします。制度創設を追い風に,大きなポテンシャルを持ったストックとして都市公園を積極的に活用していくべきではないでしょうか。 公園の活用ということで,「京プラン」実施計画第2ステージには,将軍塚として市民の皆様から親しまれてきた東山山頂公園ににぎわい施設を誘致することが掲げられております。この将軍塚は,伏見区に育った私自身,子供の頃,親兄弟によく連れてきてもらいました。京都市内が一望でき,夜間景観においても絶好の場所でございます。さらに五条通や三条通からのアクセスも良く眺望に恵まれるこの公園であれば,観光地の分散化も期待でき,様々な活用の可能性が広がるものと思います。経済,雇用や観光振興を持続可能な形で進め,市民生活をより豊かなものにするため,是非この公園の利活用に本格的に取り組んでいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 以上で質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 曽我修議員の御質問にお答えいたします。 来年度予算編成についてでございます。厳しい財政状況にあっても,市民の安心安全をしっかりと守り,京都の今と未来に必要な施策は積極的に推進する。同時に,将来にわたって福祉,教育,子育て支援の維持・充実など,必要な施策を推進するための財政構造改革を断行する。市長就任以来,私はこの双方を一体のものとして進め,持続可能なまちづくりに全力を尽くしてまいりました。気候変動や災害の激甚化など,国家,世界規模の課題が我々を取り巻く今日,これまでにも増して都市の持続可能性を高め,将来にわたり市民生活の維持・向上を図っていくことが重要となっております。このため,来年度予算編成では,公明党市議団の先生方がかねてより御提案の,誰一人取り残さない,全ての人に健康と福祉を,質の高い教育をなど,持続可能な社会の実現に向けた国連の目標であるSDGsの達成と,京都が培ってきたあらゆる危機に対してしなやかに,より強じんなまちとして回復する力,レジリエンスを改めてあらゆる行政分野の基本に据えて編成いたしました。相次ぐ自然災害への復旧支援や,社会福祉関係経費に多額の財源が必要となる中,人件費の削減や,あらゆる政策分野における事業の見直しなど,財政構造改革を断行し,必要な財源はしっかりと確保しました。そのうえで,防災・減災対策には500億円を投じるほか,全国トップレベルの福祉,医療,教育,子育て支援を引き続き,維持・充実させてまいります。今後とも,文化を基軸に,人づくり,学術,産業,福祉,環境,観光,まちづくりなど,あらゆる政策分野を融合し,将来の京都の持続的な成長・発展に向けた先進的な取組を市民の皆様と共に汗する共汗でしっかりと進めてまいります。 次に,京都市レジリエンス戦略についてでございます。京都はこれまでの悠久の歴史において,町衆を中心とする地域力,市民力の発揮によって,様々な危機をしなやかに乗り越え,より良く発展してまいりました。その過程こそが,正にレジリエンスであります。今,先行き不透明な将来に向け,気候変動の影響による自然災害の甚大化や,人口減少等の都市の存続に関わる危機にしっかりと備えるため,京都市レジリエンス戦略の策定に取り組んでおります。レジリエンスの考え方は,誰一人取り残さないを合言葉とするSDGsと軌を一にしており,曽我議員御提案のとおり,戦略の推進のためには,市民の皆さん,企業,大学,さらにはNPOなど,様々な主体がその趣旨への共通理解の下,参画していただくことが極めて重要でございます。京都に息づく共生の哲学,おかげ様・お互い様の意識をより育み,自治会・町内会への加入の促進も含めた地域のきずなづくりや,環境への負荷の少ないライフスタイルの実践,食料の備蓄といった自然災害への備えなどに取り組む。こうした一人一人の地域における自発的な取組が,自然と人間との共生を大事にする社会の実現につながり,地域の安心安全にも,さらには地域ぐるみの子育て支援や高齢者,障害のある方への支援にもつながってまいります。本市におきましても,多角的な視点から,昨年の大地震や台風などの一連の災害対応をしっかりと総括したように,この戦略の策定を契機に,レジリエンスの視点で,あらゆる政策・施策の徹底的な点検と強化,行政分野を越えた更なる融合を図るとともに,様々な主体との協働を進め,SDGsの達成も視野に,持続可能な京都のまちづくりに向けて,全力を傾注してまいります。 次に,地球温暖化対策についてでございます。本市では京都議定書の誕生以降,市民・事業者の皆様と一体となってオール京都で持続可能なまちづくりを推進してきた結果,エネルギー消費量はピーク時から27.2パーセント削減,ごみ量はピーク時から半減の41万トン,人が移動するときの自動車分担率は20パーセント減少し,鉄道・バスの分担率は30パーセント向上するなど,大きな成果を挙げてきております。そのうえで,全国に先駆けて,パリ協定に掲げる温室効果ガスの排出実質ゼロという全人類共通の目標を見据えた,プロジェクトゼロヘの道を明確に掲げ,産学公連携によるイノベーションの促進や環境に優しい暮らし方,働き方への転換,それらを支える担い手の育成など,2050年以降の未来を視野に入れた取組を進めているところであります。また,曽我議員御指摘のとおり,近年,豪雨や猛暑など,地球温暖化が一因と考えられる影響が多発しており,市民生活や事業活動への影響を最小限に抑えるための適応策の重要性が高まってきております。そのため,本年3月には,全国で初めて政令市と府県の協働で研究者や実務者から成る適応策に関する研究会を立ち上げ,地域気候変動適応センターの在り方などの検討を進め,豪雨対策をはじめとする様々な分野の適応策の一層の推進を図ってまいります。そして,本年5月に京都市で開催されるIPCC・気候変動に関する政府間パネルの総会を契機に,京都議定書誕生20周年を機にして気候変動対策における都市の責任と決意を高らかにうたった京都宣言の理念や総会の成果,京都の果たすべき役割を広く共有するため,5月11日には,IPCC関係者も交えて,シンポジウムを京都市が開催いたします。京都議定書から飛躍したパリ協定がいよいよ交渉の段階から実行の段階に入ろうとする今日,気候変動対策に取り組む国内外の機運を再びここ京都から高め,SDGsの達成と今世紀後半の脱炭素社会の実現に向け,市民・事業者の皆様と共に果敢に挑戦していく覚悟でございます。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 区役所サービスの向上についてでございます。区役所・支所等の窓口に来られた方々に1年置きにお尋ねしている窓口の満足度調査において,平成28年度には,満足度80パーセント台の項目が半数ございましたが,曽我修議員御案内のとおり,全区・支所の職員一丸となった取組により,今年度の調査では,2万7,000人の回答者から,全ての項目について満足度95パーセントを超える高い評価を受けました。今後さらに,区役所窓口サービス向上プランに基づき,柔軟な執行体制による繁忙期対応や,案内業務への民間活力の導入と専門性の高い業務を担う職員の役割を適切に組み合わせることで,御指摘の窓口サービスの向上と業務の効率化を一体的に進めてまいります。 また,平成28年度の戸籍の電算化の完了により,本籍地でない区役所でも戸籍関係の証明書の発行が可能となったことから,31年度は,証明書の郵便請求事務を集約し,併せて右京区をモデル区として,カウンターの手前から来られた方にお声掛けするフロア案内員を新たに配置するとともに,引っ越し等に伴う複数の手続の窓口を近いエリアにまとめ,手続漏れを防ぐとともに分かりやすい総合受付窓口を設置いたします。そして,その成果をいかし,大規模区をはじめ他区へ展開してまいります。 また,本年1月に開始したコンビニ交付サービスにつきましては,より多くの方に御利用いただき利便性を実感していただけるよう,地下鉄の車内広告やコンビニ,金融機関でのポスターの掲示,チラシの配架を行っていただくなど周知・広報に努めるとともに,コンビニ交付に必要となるマイナンバーカードの一層の取得を進めるため,企業や事業者の皆様に御協力をお願いし,市の職員が事業所に出向いて申請を受け付けるなどしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 東山山頂公園の活用についてお答えいたします。曽我議員御指摘のとおり,公園は,都市の魅力,活力,憩いを生み出す貴重な空間でありますが,その多くで老朽化が進んでおりますため,厳しい財政状況の中,民間の知恵と活力も取り入れながら,その潜在力を最大限に引き出すことが必要と考えております。9月市会において,パークPFIの活用に必要となる関係条例を改正しまして,まずは大宮交通公園を,緑豊かな環境の中で安全な自転車の乗り方を楽しく学べる公園として再整備すべく公募を行いました。御提案の東山山頂公園でございますが,東山ドライブウェイの開設に伴い,昭和35年に京都市街を一望できる展望スペースを持つ公園として開園いたしまして,多くの方々に親しまれてきておるわけでございますが,そのコンセプトが現在の需要に合わず,利用者も少ない状況にあるということで,「京プラン」実施計画第2ステージにおいて,にぎわい施設の誘致を取組項目として掲げております。これまで利活用の可能性について複数の事業者に意見聴取を行っておるのですが,老朽化した施設やアクセスも課題となりまして,前向きな感触を得るには至っておりませんでした。しかし,収益施設と公園施設とを一体的に整備できるパークPFI制度の創設によりまして,この公園のように一定の面積を持つ公園が持つ潜在力を引き出す可能性が大きく広がったところでございます。最近では,利活用に前向きな御相談もお受けしているところでございます。 こうしたことも踏まえまして,現在,パークPFIを活用した整備について具体的な検討を進めております。早期に新たなにぎわい施設の誘致などに向けた公募を行いまして,東山山頂公園の魅力向上を実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 次に,青野仁志議員に発言を許します。青野議員。 〔青野仁志議員登壇(拍手)〕 ◆(青野仁志議員) 中京区選出の青野仁志でございます。曽我修議員,西山信昌議員と共に公明党京都市会議員団を代表し,平成31年度京都市予算案及び市政の重要課題について質疑いたします。市長並びに関係理事者におかれましては,誠意ある御答弁をお願いいたします。 最初に,健康長寿のまちづくりに関してお尋ねいたします。我が中京区では現在65歳以上の方の人口に占める割合は25パーセント,4人に一人に達しています。地域を訪問いたしますと,御高齢でもお元気な方が大変多くいらっしゃいます。一方で,データによれば介護を要する方は年々増加しており,健康を維持するには何と言っても早期の予防が大事であります。私は一昨年11月市会の代表質問にて,介護予防に直結するフレイル及びオーラルフレイル対策の有用性を訴えました。フレイルとは,年を取るにつれ筋力,認知機能,社会とのつながりを含む心と体の活力が低下した介護手前の状態を言います。そのフレイルの入口と言われる,かんだり食べたりする力が少し弱くなる状態を指してオーラルフレイルという言葉が用いられています。東京大学の研究では,フレイルになる前に最終的には筋肉が減っていくのですが,その手前でかむ力や食べる力が落ちるため,口くう機能が大事であり,更にその手前で社会性,社会との関わりが減っていることが分かりました。住み慣れた地域でいろんな方々との関係性を保ち,自分らしく生きていくということが幸せで,元気も維持できます。そういう意味では可能な限り地域で活動することが大事であります。 東京大学の研究を主導された飯島勝也教授は,研究による多くの科学的根拠を踏まえ,健康長寿,すなわちフレイル予防のための三つの柱として,栄養,身体活動,社会参加が重要とし,フレイル対策については全国の様々な地域において,しっかりかんで,しっかり食べ,しっかり動き,そしてしっかり社会性を高く保つという原点を分かりやすく見える化しながら,個々の地域で市民レベル,まちぐるみの取組として,従来の介護予防事業から新たなフレイル予防活動へと進化していく必要を述べられています。 フレイル予防事業に最初に取り組んだ千葉県柏市では,この三,四年で高齢者の大半の人にフレイルという言葉が届いています。元々柏市では年齢層に応じた健康づくりやヘルスケアに関わる活動,施策が40ある一方,担当する部署は13にも分かれており,互いに内容や進捗状況などを共有しておらず,効果判定しているものも余りなかったそうです。複数の行政の部署,専門機能団体,市民団体,社会福祉協議会,民生委員,スポーツ推進団体,学者等で構成する柏フレイル予防プロジェクト2025という委員会を立ち上げ,フレイルという多面的な要素で方向性を磨き直し,束ね直しをされました。具体的には,科学的根拠に裏付けられた高齢者同士でできる簡易測定・フレイルチェックを実施し,市民フレイル予防サポーターを養成しながら,楽しい場でフレイル対策を市民目線で学び合い,早めの気付きで,我がこととして捉える流れが生まれたことでフレイルという言葉を多くの人が認識するに至りました。 京都市では,今年度より従来から実施している介護予防教室等にフレイル及びオーラルフレイル予防の視点を入れての取組を始められましたが,フレイルという言葉をほとんどの市民は知らない現状です。市民の健康長寿の進展に向け,先進事例も参考にフレイル及びオーラルフレイル予防の取組を市全体に浸透させるべきと考えますが,現状の取組を踏まえての今後の展開についてお伺いします。 次に,市民の命を守る視点で,本市の昨年7月の豪雨災害への対応に関してお尋ねします。7月5日未明から降り続いた雨は,西日本から東海地方を中心に多くの観測点での降水量が史上1位を記録し,停滞する梅雨前線や海上からの水蒸気の継続した供給などにより,京都市域に線状降水帯が発生,長期間強い雨が降りました。主要河川の水位も上昇し,洪水等の危険性が増大,桂川においては日吉ダムの貯水量が飽和状態となり緊迫した状態に。また,土砂災害への警戒も最大限に達しました。避難勧告等も過去に例を見ない規模で発令。5日から8日にかけて,180学区,49万7,039世帯,102万7,408人に対して避難勧告等が発令されました。地域の自主防災会等では指定緊急避難場所を開設・運営いただき,最大避難者数の合計は2,337人でありました。 多くの犠牲者を出した倉敷市真備町では,全域の約2万2,000人に対して避難勧告等が発令されたものの,実際に避難された方は500人余りと全体の約2.3パーセントという状況もあり,被害が拡大したとされています。一方京都市では,避難された方は2,337人と更に少ない全体の0.2パーセントでした。万一河川がいっ水,決壊していたら多くの犠牲者を出していたかもしれません。河川があわやいっ水するかと危ぶまれた際,京都市版XRAIN雨量情報システムをはじめ,河川水位,土壌雨量指数などの情報を活用し,避難所開設指示や避難勧告を学区単位で発表することができたものの,住民には十分に伝わらなかったと言わざるを得ません。災害対応に係る総括から,避難勧告等の発令及び情報伝達について,避難勧告などの言葉が分かりにくい,また,学区単位の発令でも範囲が広すぎ,市民の適切な避難行動に結び付かない。さらに避難勧告等の発令に係る事務量が膨大で市民に情報が到達するのに時間を要する実態があります。避難勧告等の情報は学区単位から更により細かくピンポイントで提供できないか,また,これをどう住民に知らせるかなど,改めて適切な避難行動が取れるような発信の在り方が課題として上がってきました。 そこでお尋ねいたします。京都市版XRAIN雨量情報システムはもとより,災害に関するあらゆるデータを活用することで,市民の皆様に対し,よりきめ細かな情報提供が可能なのではないでしょうか。また,適切な避難行動につながる情報伝達手段の改善が必要と考えますが,いかがでしょうか。現在の運用状況と併せて御所見を伺います。 あわせて,災害時の被害情報の収集及び庁内情報共有の見直しについてお尋ねします。情報発信の前段階としては,情報を収集分析し庁内で共有し発信するわけですが,この作業を正確かつ速やかに行う必要があります。情報収集においては,ドローンが威力を発揮すると言われているものの,本市では消防局が運用を始めたばかりであり,災害に備え,今後,更なる導入や活用が望まれます。昨年,民間団体と締結した包括連携協定も踏まえ,ドローンを積極活用すべきと考えますが,いかがでしょうか。また,庁内情報共有においては,電話やファックスなどの活用に加え,リアルタイムに情報共有を行うため,LINE株式会社との包括連携協定を踏まえたアプリ,LINEワークスの活用を提案しますが,お考えをお伺いいたします。 ここまでを前半の質疑といたします。御答弁をお願いします。 ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 青野仁志議員の御質問にお答えいたします。 フレイル予防の取組についてでございます。心身や口くうの機能が弱っていくフレイルやオーラルフレイルの予防とは,青野議員御紹介のとおり,しっかりかんで,しっかり食べ,しっかり動き,そしてしっかり社会とつながるということが原点であり,これをより多くの市民の皆様に知っていただき実践していただくことが極めて重要でございます。このため本市では,昨年6月の高齢者への介護保険料の通知にフレイル対策を知っていただくお知らせを同封し,体や心が弱っている状態を早期に気付き,早期に対策すれば,健康な状態に回復できることを周知したところであります。その結果,地域介護予防推進センターに多くの問合せをいただくなど大きな反響を呼びました。さらに,フレイル対策を実践する取組として,本年2月から,一部の地域介護予防推進センターにおいて,地域で介護予防活動を行う自主グループを対象に全8回のフレイル対策プログラムを試行的に提供しております。このプログラムでは,リハビリテーション専門職による体操指導や歯科衛生士によるお口の体操,管理栄養士による栄養講座等を通じて,栄養,口くう,身体活動に関する知識を習得し自ら実践できるよう取り組んでいただくとともに,初回と最終回には,握力,歩行速度,口の動きなどのフレイルチェックを実施することで,プログラムの効果の見える化を図っております。今後,こうした多職種の連携による総合的なフレイル対策の全市的な展開を図ることにより,社会参加の促進にもつながる自主グループの育成,支援も含め,フレイル,オーラルフレイル対策を一層進めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 私からは災害時の情報伝達についてお答えいたします。青野議員御指摘のとおり,昨年の7月豪雨の後,本市の災害対応を総括いたしました中で,避難勧告等の発令が適切な避難行動に結び付いていないこと,あるいは庁内の情報共有・連携体制が十分でなかったことが課題として上がりまして,現在,その改善策に取り組んでおります。具体的に申しますと,市民の皆様に適切な避難行動を取っていただくため,水害に関する避難勧告などにつきましては,河川が氾濫した場合の氾濫水の到達時間,あるいは危険度の度合いを考慮して発令するようマニュアルを見直してまいります。加えまして,これまで以上にSNSを積極的に活用した広報を実施いたしますとともに,洪水や浸水が想定される区域を,おおむね町単位まで細分化いたしまして,ホームページあるいは新たに整備予定の自動応答電話による情報提供システムを活用し,よりきめ細やかな避難情報の伝達を行ってまいります。 また,災害時の情報収集に有用なドローンでございますが,民間団体との協定の活用も含め,山間部の道路,山林の被災状況の把握など,その運用を拡大いたしますとともに,来年度に分庁舎に開設を予定しております災害時の中枢機能を担う危機管理センターには,ドローンで撮影する映像をリアルタイムに映し出す機能を備える予定としております。 一方,庁内における情報共有でございますけれども,LINE株式会社との協定を踏まえまして,LINEワークスを含めたアプリによりまして,被災状況を写真や動画で共有するなど,積極的な活用を図ってまいります。昨年の災害の教訓を踏まえ,スピード感を持って,市総体で災害対応力の更なる強化に努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 青野議員。 〔青野仁志議員登壇〕 ◆(青野仁志議員) 後半の質疑に入ります。中京区選出の青野仁志でございます。 スタートアップベンチャー企業支援に関してお尋ねいたします。京都は,ベンチャーの都と呼ばれ,伝統産業に培われた技術力,大学の集積による豊富な人材を背景に,京都に本社を構え続けグローバルに展開する企業を数多く生んできました。京都市ではこれまでベンチャー企業目利き委員会をはじめベンチャー企業の発掘・育成に取り組まれ,京都ならではと高く評価しますが,一方で近年,廃業率が開業率を上回っている現状があります。より一層経済を活性化するには,何と言っても今はこれからの京都を担う企業が次々と生まれることが重要です。特にものづくり分野において,私はこれまでから,国内外のものづくりベンチャーを京都に呼び込むための受皿を作ることで,ベンチャー支援という新たな地場産業が生まれる。その拠点を市が設置する必要性を訴えてまいりました。その結果,2017年9月に,ようやくものづくりベンチャー戦略拠点・京都メーカーズガレージが開設されました。私はオープニングイベントに参加するなど,今日に至るまで拠点の活動に注目してまいりました。 京都メーカーズガレージについては,これまでから新聞紙上やネットニュースでも取り上げられ,最近では雑誌AERAにも大きく掲載,メディアの注目度も非常に高いと言えます。また,開設以来,世界的スポーツメーカーなどの企業関係者やシンガポール,アメリカのポートランド市の関係者をはじめ国内外の視察団も訪れていると聞いており,民間のベンチャー創業支援に取り組むダルマテックラボや京都リサーチパーク等と連携したこの取組を改めて高く評価いたします。今後は更に取組を加速させ,ものづくりに関わる起業家支援の拠点として,日本を代表する場所となってもらいたいと考えますが,これまでの取組の成果と今後の展望についてお聞かせください。 また,京都市内には,パナソニックデザインセンターやLINEの開発拠点のほか,アプリ開発企業の拠点開設が相次ぐなど,立地の面でも京都に注目が集まっております。人口減少社会を迎え,今後の京都経済の発展のためには,スタートアップベンチャー支援の環境を整え,京都に人や企業を呼び込み,創業・起業の創出や事業継承を機にした経営革新などに向けて更なる取組の充実が求められますが,どのように取り組んでいくのか,お考えをお聞かせください。 次に,定住促進につながる受入環境整備の視点でお尋ねいたします。文科省が2016年度に実施した日本語指導が必要な児童・生徒の受入状況に関する調査によれば,公立学校で日本語指導が必要な児童・生徒数,すなわち日常会話が十分にできない,又は,日常会話はできても学年相当の学習言語が不足し学習活動への参加に支障が生じていると学校が判断した児童・生徒数は4万3,947人で,10年間で1.7倍に増えています。人が幼児期に周囲の人が話すのを聞いて自然に習い覚えた最初の言語を母国語と区別して母語と言いますが,この母語もポルトガル語,中国語,フィリピノ語など多様化しています。公立小・中学校に日本語指導が必要な児童・生徒が在籍する学校数は9,890校。そのうち,1校当たり4人以下の在籍校が79.4パーセントを占め広い範囲での在籍が見られる一方で,5人以上在籍している学校も2,034校と2割強あり,集中している傾向も見られます。京都市においても,同調査によると,日本語を母語としない児童・生徒で特別の教育課程を受けている児童・生徒数はまだ少ないとはいえ,26年度41名,28年度86名,30年度123名と年々増加しています。現在,国においては深刻な人手不足を背景に入管法等が改正され,4月からは外国人労働者の受入れが拡大され,多文化が共生する施策が求められる時代が到来しており,本市としてもその受入環境として日本語教育環境の整備は急務であります。こうした外国人受入拡大に向け,日本の学校の仕組みも含めた不安の解消と,外国人が教育,就労,生活の場で円滑にコミュニケーションできる環境の整備のための外国人児童・生徒に向けた教育の充実を図る必要があります。2014年度から,特別の教育課程としての編成や実施が可能となり,この制度を導入して日本語指導をする小・中学校も増えています。外国人児童・生徒の日本語能力測定方法の実施に伴い,日本語レベルを把握し,見通しを立てた指導計画の作成が定着しつつありますが,日本語指導の方法が分からなかったり,教材がなかったりするために,日本語指導など特別の指導や放課後の教科の補習ができていない学校が全体の13.5パーセントに当たる1,434校,同様の理由で,特別の教育課程による日本語指導ができていない学校が全体の21パーセントの2,202校あることが分かっています。今後,更に日本語指導などを担当する教員には専門性の向上が求められるとともに,教員養成や研修の必要も迫られています。 そこで,本市の日本語指導を必要とする児童,家庭への指導・支援体制の現状の取組並びに今後の対応について,具体的にお考えをお示しください。 最後に,暮らしを守る次世代交通についてお尋ねします。高齢化に伴い,移動が大変だとか,目的地への最適コースを瞬時に知りたいなど,移動に関する切実な要望をよくお聴きします。こうした要望に応え得るシステムとしてMaaSという言葉が最近新聞にも取り上げられるようになっています。MaaSとは,Mobility as a Serviceという語句の四つの単語の頭文字を並べた略称で,移動,すなわちモビリティを単一のサービスとして捉えることを意味する新たな移動の概念であり,マイカー以外の様々な交通手段を垣根なく利用できるようにし,個々の人の移動を最適化することで利便性を向上させる移動サービスの総称としても使われています。新しい概念ですので,定義が完全に確立されているわけではありませんが,スマホのアプリケーションソフトを通じて,出発地から目的地まで複数の公共交通機関を利用する場合に,経路,発着時刻や所要時間,利用料金を一括して検索できる仕組み,複数の交通手段を一括して予約し料金決済できる仕組み,1日や1箇月といった単位での定額利用料金制など,MaaSの発展段階ごとに利用できる機能・仕組みが重層化されていくことが想定されています。また,観光地や店舗,イベントに関する情報とアプリ連携することで,利用者にとっては移動することに新たな価値が生まれるとともに,地域の中小企業や新規起業者にとってはビジネスチャンスが生まれることも期待されます。しかしながら,私が最も重要と考えるのは,鉄道,バス,タクシーなど,あらゆる交通手段が,提供する事業者の枠を超えて利用できるという利用者の利便性を最も重視する理念と,それを忠実に実現しようとする努力です。 世界最先端のMaaSを実現している北欧フィンランドのヘルシンキ市は,人口120万人と京都市とほぼ同じ規模の都市であります。市内のベンチャー企業・マースグローバル社が開発した,レンタカーやカーシェアリング,シェアサイクルなども組み込んだMaaSアプリケーションソフトWhimを採用して,2016年秋から実証試験,2017年夏から本格的な運用を開始し,Whim利用者の移動に占めるマイカー利用の割合が約2割にまで抑制され,公共交通利用への転換が進んだそうであります。このWhimの成功は,一つの民間企業の力だけで成し遂げられたものではありません。フィンランドが国として,公共交通を市民生活に不可欠なインフラと捉え,鉄道,バス,タクシー等の事業種別ごとに規定していた法律を一元化して運輸サービスに関する法律を定め,利用者のデータをオープン化して,プラットフォームを担う事業者の業務の効率化や新規参入の環境を整えるとともに,公共交通の運営を支援する仕組みを設けていることが,非常に大きな要因であると考えます。 このように,現時点で我が国にそのまま導入できない要素はあるものの,MaaSの理念は,京都市の歩くまち・京都の理念にも通じるものがあると考えられます。市内の公共交通事業者も巻き込み,本市でも次世代交通インフラシステムについて,国への働き掛けも含め具体的な検討を始めていく時期に来ていると考えますが,いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。 以上で質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
    ◎市長(門川大作) 引き続き,青野仁志議員の御質問にお答えします。 ベンチャー企業支援についてでございます。本市では,全国に先駆け,ベンチャー企業目利き委員会や京都市スタートアップ支援ファンド,さらには,ビジネスの力で社会課題を解決するソーシャルイノベーションの創出に取り組む研究所を設置するなど,ベンチャー,若手起業家,世界起業家の発掘・育成に取り組んでまいりました。そうした中,青野議員御質問の京都メーカーズガレージは,みんなごとのまちづくりであります京都創生・お宝バンクへの提案が始まりでありました。それを基に,ベンチャー支援のノウハウが豊富な民間事業者の協力を得て設置したものであります。私も何度も足を運び,若い人々が集い,独創的なアイデアを形にするという活気あふれる時間を共有し,ものづくりの未来を作り出す場としての大きな可能性を感じております。この拠点においては,これまで,連携先企業の紹介や資金調達など44の支援を行い,本年1月にラスベガスで開催された世界最大級の見本市でのイノベーション賞の受賞や,製品化に結び付く事例も出てきております。今後も,国内外のベンチャーとたくみの技を結び付け,大学や京都高度技術研究所・アステム,京都市産業技術研究所等の本市の産業支援機関等としっかりと連携しながら,ものづくり拠点としての取組を更に加速させてまいります。さらには,京都の都市特性が改めて高く評価され,次々と企業が京都に拠点を開設している中,産学公連携が盛んな京都で世界に羽ばたく次世代ベンチャーの創出を目指す新たな民間の起業家支援施設の開設なども予定されております。こうした情勢を的確に捉え,連携も深め,学校跡地等を活用した創業・イノベーションの拠点づくりや,新たな産業用地の確保についても,しっかりと取り組んでまいります。あわせまして,3月に開所します京都経済百年の計,京都経済センターを核としたオープンイノベーションや,地域企業の後継者が経営革新に挑戦するベンチャー型事業承継についても,新たに取組を進めてまいります。今後も,京都の強みを徹底していかし,京都でアントレプレーナーを育てる,同時に国内外から若者,起業家などを呼び込むとともに,スタートアップベンチャー企業支援の環境整備やイノベーション,ソーシャルイノベーションの創出を推進し,京都経済の発展に向けてしっかりと取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木章一郎) 公共交通をはじめ移動サービスを一元化して提供するMaaSの導入についてでございます。我が国初となる路面電車を走らせるなど,京都の先人たちはこれまで数々の進取の気風あふれる取組を行ってこられました。こうした先進性を引き継ぎ,現在,本市におきましても,平成26年度に設立した京都未来交通イノベーション研究機構に検討会議を設置し,自動運転,人工知能などの技術を活用しました新たな移動サービスについて研究を進めております。また,MaaSについても,市長自らがマースグローバル社社長と意見交換を行ったところでありますが,平成25年度に構築した,歩くまち京都アプリ,バス・鉄道の達人は,事業者の枠を超えて公共交通機関を一括で検索したり,実際の到着予想時刻を表示する機能を備えており,MaaSの最初のステップに相当する取組とも言えると評価をいただいております。MaaSの先進地であるヘルシンキ市と比較いたしますと,本市では多くの交通事業者が運行しておりシステム運営の合意形成等に課題はありますが,これまで培ってきた交通事業者とのネットワークを資産として活用し,新技術導入に向けました国のプロジェクトとも連携のうえ,本市の交通課題の解消や公共交通の利便性向上を実現するMaaSの導入に向け,研究・検討を積極的に進めてまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 日本語指導を必要とする児童・生徒及び家庭への取組についてでございます。本市ではこれまでから,外国の方々が多く居住されている地域を中心に日本語教室の設置を進め,平成26年度当初からは国が制度化いたしました在籍学級とは別に行う特別の教育課程による日本語指導を全市に展開しております。また,対象となる児童・生徒数の増加とともに多くの学校に少人数ずつ在籍する在籍校の散在化の傾向も踏まえまして,平成28年度からは,そうした在籍校を支援するサポート校を設置し,現在5校をサポート校として39校に日本語指導教員や母語支援員を派遣するなど体制の充実に努めてきております。さらに本年度は,子供が入学前に身に着けるべきことなどを保護者に周知する多言語対応の小学校生活スタートガイドを作成し,来年度の新入学予定者から活用するなど,家庭に対する支援の充実も進めてきたところでございます。来年度,大学等とも連携し,担当教員等を対象とする年7回の指導力向上セミナーに発展コースを設置するなど専門性の向上を図るとともに,市内に住み働く外国の方々が今後ますます増加することが予想される中,日本語指導ボランティアの御協力によりまして,来日直後の子供たちに対する日本語指導時間数につきまして,週8時間程度への倍増,さらには近年AIの発達で精度が高まっております小型翻訳機の導入などを通しまして,日本語指導が必要な児童・生徒及び家庭に対するより一層の支援に努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 次に,西山信昌議員に発言を許します。西山議員。 〔西山信昌議員登壇(拍手)〕 ◆(西山信昌議員) 下京区選出の西山信昌です。曽我修議員,青野仁志議員に引き続き公明党京都市会議員団を代表し,平成31年度京都市予算案及び市政の重要事項について質疑いたします。市長並びに関係理事者におかれましては,誠意ある御答弁をお願いいたします。 まず初めに,アクティブシニアの取組とリカレント教育の推進についてお伺いします。日本人の平均寿命は,平成の約30年で男女とも5歳以上延びました。一昨年は男性が81.09年,女性が87.26年でした。そんな中,人生100年時代という言葉がしばしば語られるようになっています。この言葉の火付け役となった本がイギリスの著名な経営学者であるリンダ・グラットンさんの「ライフ・シフト」と言われております。同書によれば,ある推計から話が始まります。日本人は2007年に生まれた子供の半数が107歳より長く生きる。従来,教育,仕事,引退という人生70から80年が一般的であったが,人生100年時代においては,70から80代まで働くのが当たり前。私たち一人一人が大きく変わっていく必要があるし,企業などの雇用主や社会と国家も大きく変わっていく必要がある,このように説かれていきます。 そんな中,私は,昨年度,超高齢社会・少子社会とアクティブシニアの重要性に関する調査研究を行い,昨年5月16日に門川市長に報告書を提出しました。アクティブシニアとは,定年退職後にも趣味や様々な活動に意欲的な元気なシニア層のことを言います。人生100年時代においては,人生経験豊かなシニア層の皆さんがその知見をいかし,新たな挑戦をされるなど,その活躍の場はますます広がることが期待されます。主な提言内容としては,1,京都のアクティブシニア像の確立とアクションプランづくり,2,社会の働き手として,シニアの就労促進に向けて,3,地域社会の担い手として,シニアの社会参加の促進に向けての三つの視点に立ち,多くの具体的な提案をしております。中でも,高齢者と学びについては,多くの高齢者が参加する大学コンソーシアム京都の京カレッジや各大学の社会人講座など京都の学びのシステムをネットワーク上で統合し,統合型ワンストップ・ネットワーク型の総合的なシニアカレッジシステムの創設,そして,就職につながる学びについて提言しています。これらは,いわゆるリカレント教育に当たります。リカレントとは,英語で反復,繰り返すという意味で,学校教育を終えて社会人となった後に,一旦仕事を離れて,若しくは仕事を続けながら学び直して,受けた教育を仕事でいかす。そしてまた,必要であれば学び直し,また,次にいかしていく。この繰返しがリカレント教育です。アクティブシニアの取組を推進するに当たっては,リカレント教育の視点も重要であると考えます。アクティブシニアが知識や技術を学び直し活用することで広く社会に参画していく。企業への再就職だけに捕らわれず,広くボランティアやNPOの活動にも展開することで,アクティブシニアの社会参画を進めていくことが可能になると考えます。 そこでお尋ねします。京都市において,アクティブシニアの取組について,リカレント教育も充実させながら促進していくべきと考えますが,いかがでしょうか。 次に,認知症の人やその家族の視点を重視した取組の推進についてお聞きします。人生100年時代においては,アクティブシニアのようにお元気な高齢者への取組を推進するとともに,認知症など支援が必要な人への取組を充実させる必要があることは言うまでもありません。京都市の平成31年度予算案においては,認知症初期集中支援チームが6箇所から8箇所に増設され,事業対象エリアの全市展開が図られるなど,認知症への支援が充実してきております。他の自治体では,医療,介護などを総合的に提供する認知症支援センターも設置されてきております。今後,医療,介護,相談,手続といった認知症に関する困り事を総合的に対応できるような認知症総合支援センターと言うべきものが京都市内に開設されることを期待しております。 国の推計によると,2025年には認知症の人は約700万人にも上り,65歳以上高齢者に対する割合は,約5人に一人に上昇すると言われております。このように認知症になることが特別でなくなっていく中,認知症の人本人による発信も増えてきております。「私に関することは,どんなことでも最初に私に聞いてください。私のことを,私を抜きに決めないでください」。この言葉は,認知症の人たちの協力によって作られた「本人にとってのよりよい暮らしガイド 一足先に認知症になった私たちからあなたへ」に掲載されているオーストラリア在住のクリスティーン・ブライデンさんの言葉です。また,認知症の人がほかの認知症の人の相談に乗ったり,認知症の人同士が互いに体験を共有して当事者同士で支え合うピア活動なども広がりを見せております。当事者団体である一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループは,昨年11月1日,認知症と共に生きる希望宣言を表明されました。五つの項目から成り,自分自身が常識の殻を破って前向きに生きること,今後も社会や地域に関わり続けること,自己の能力や体験をいかしながら,地域の人々と共に人に優しいまちづくりを進めることがうたわれております。また,これまで日本においては,認知症の人を周囲がどのように支えていくのかといった視点が主流であり,ともすれば,認知症の人本人の思いが置き去りにされてきた感がございました。宣言などに触れ,認知症の人本人の声を基に,当事者の思いをかなえる仕組みの構築が必要であるとの思いを深く感じます。認知症の人本人の思いをかなえる支え手として期待される認知症サポーターは,現在,全国に約1,050万人,京都市にも約11万人と養成は進んでいるものの,なかなか次の活動に結び付かない現状があると言えます。認知症サポーターの皆さんが地域で更に活躍できる場を作ることが重要であります。 国においては,認知症施策推進総合戦略・新オレンジプランが平成29年7月に改訂されました。そこでは,これまでの認知症施策は,ともすれば,認知症の人を支える側の視点に偏りすぎであったとの観点から,認知症の人やその家族の視点を重視した取組を推進するとされております。来年度の国の予算案においても,認知症の人等に対する早期からの生活面・心理面を支えるための認知症本人のピア活動や認知症の人の支援ニーズと認知症サポーターをつなげる仕組み,仮称・チームオレンジを構築するための予算も計上されております。今後,認知症の人本人のピア活動など,認知症の人本人やその家族の視点を重視した取組を推進するとともに,認知症サポーターが更に活躍できる仕組みを構築すべきと考えますが,いかがでしょうか。 次に,横断歩道橋についてお伺いします。私の地元下京区においては,京都市内最大級とも言える横断歩道橋が堀川五条の交差点に設置されています。この交差点は,横断歩道橋はあるものの,横断歩道はありません。横断歩道橋を利用できる方はよいものの,高齢者で階段の上り下りが難しかったり,ベビーカーや車椅子を利用されている方にとっては,大きく遠回りをしなければなりません。全ての方角で信号のある次の交差点まで行こうと思うと道のりは遠く,特に北西角から北東角まで移動するともなると,約500メートルもの距離があります。バリアフリーが求められる時代に何とか改善できないものかとの声が地元の皆さんから私の元にも多く寄せられております。 日本で最初に設置された横断歩道橋は,昭和34年に愛知県清須市の県道に設置された西枇杷島町横断歩道橋でありました。この交差点においては交通事故が多発し,PTAの皆さんの要望などにより全国に例がない中,当時の建設省と警察で相談しながら,当時の技術を集めて建設されました。以降,昭和30年代後半からのモータリゼーションの進展に伴い,当時,社会問題化していた交通事故対策・渋滞対策のため,全国で多く設置されるようになってまいりました。京都市においても昭和40年から昭和50年代初頭にかけて,その多くが整備されてきているところであります。横断歩道橋は,歩行者と自動車を分離し,歩行者が安全に道路を横断でき,また,自動車交通の円滑化に大きく寄与するなど有効な施設と言えます。一方,少子高齢化に伴い児童が減少し通学路の指定がなくなるなど,年々その利用者は減少してきております。また,市内においても,設置された横断歩道橋は50年前後経過する中で,施設の老朽化に伴う維持管理や景観上も課題もあります。 そのような状況の中,京都市においては,今後の横断歩道橋の在り方について,通学路指定などの利用状況,また交通安全,バリアフリーなど様々な観点から検討が進められ,平成27年当時40あった横断歩道橋のうち,社会情勢の変化とともに利用者が少なくなった18橋について原則撤去の方針が示されました。撤去方針が示されたものの中には慎重に検討すべきものもあるかとは認識しておりますが,高齢社会において,人に優しい歩行環境づくりは重要であると考えます。歩行者の安全な横断を大前提として,平面的な横断形態はこれからの道づくりの一つの形であると考えられます。 そこで,横断歩道橋について,2点お伺いいたします。1点目に,原則撤去の方針が示された横断歩道橋について,様々な課題等もあろうかと考えますが,現在の進捗状況と,今後の進め方についてお聞かせください。また,2点目に,市内には堀川五条など直轄国道に国が管理する横断歩道橋も設置されています。今後の横断歩道橋の課題解決に向けた国との連携の在り方についてもお聞かせください。 以上で前半の質疑といたします。まずはここまで御答弁ください。 ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西山信昌議員の御質問にお答えいたします。 アクティブシニアの取組及びリカレント教育の推進についてでございます。西山議員の調査研究の報告書,じっくりと拝読させていただきました。ありがとうございます。私は,人生100年時代を迎え,高齢者の皆さんが持つ豊かな知識や経験を地域の中でしっかりといかしていける社会を構築し,いつまでも元気で暮らせる健康長寿のまち・京都を作っていくこと,そのことがまちも元気になり,持続可能な社会づくりにつながると認識しております。本市ではこれまでから,高齢者の皆様による地域に根差したすこやかクラブの活動やシルバー人材センターでの就業などを通じて社会参加の促進や生活支援を行ってきており,さらに,平成28年度からは,ボランティア活動に興味のある方を実際の活動に参加していただけるよう支援するコーディネーターを全ての区に配置し,元気な高齢者,アクティブシニアが地域の中で活躍できる取組を積極的に進めているところであります。 西山議員御指摘の何歳になっても学び直せるリカレント教育は,社会全体の生産性の向上や,今日担い手不足が大きな社会的課題になっている中で,雇用の拡大,高齢者の地域活動や就労などのアクティブシニアの取組にしっかりとつながっていくものであるお一人一人の命が輝く取組になり,極めて重要であると考えております。このため,老人福祉センターや健康長寿サロンでの活動の場を広げるとともに,大学のまち・京都としての都市特性をしっかりといかし,大学コンソーシアム京都と連携し,リカレント教育の推進など,年齢に関係なく自らのキャリアアップやスキルアップのために各大学で学べる環境づくりなどを進めてまいります。引き続き,高齢者の皆様に,地域の中でいきいきと活躍していただける,そのことが地域も元気になる,世界一健康長寿のまち・京都の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 次に,認知症対策についてでございます。認知症となっても御本人の意思が尊重され,住み慣れた地域で暮らし続けられる社会を作ることが極めて重要でございます。このため,本市や京都府,医師会などで構成している京都地域包括ケア推進機構が平成29年度に策定しました新・京都式オレンジプランにおいて,御本人とその家族が望む地域社会の姿を10項目のメッセージに取りまとめ,その実現に向けて取組を進めているところでございます。西山議員御指摘のピア活動につきましては,プランに掲げる重要な取組の一つとなっており,私も,御本人,御家族の社会参加や不安軽減のために大変有意義な取組であると考えております。このため,市内約50箇所の認知症カフェにおきまして,御本人や御家族同士の交流を行うとともに,長寿すこやかセンターにおいても,介護家族交流会などを実施し,生活や介護の大変さなどの悩みの共有や当事者同士が困り事の解決を行える場を提供するなどの支援を行っているところであります。こうした取組の活性化を通じて,より多くの当事者の方にピア活動の効果を実感していただき,充実を図ってまいります。 また,認知症サポーターにつきましては,その養成に引き続き力を注ぐとともに,認知症のある方により積極的に関わりたいとの意思をお持ちの認知症サポーターを更にアドバンスサポーターとして位置付けまして,認知症カフェにおけるボランティアスタッフなどの具体的な活動につなげる取組も行っているところであります。今後,国において検討が進められておりますピア活動等の新たな事業もしっかりと参考にしながら,認知症の人やその家族が望む地域社会の実現に取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 鈴木建設局長。 〔鈴木建設局長登壇〕 ◎建設局長(鈴木知史) 横断歩道橋の撤去についてでございます。横断歩道橋の多くは,車中心社会の下で社会問題化していた交通事故対策,渋滞対策のため整備されてきたものでございますが,西山議員御指摘のとおり,設置後50年を経た今,高齢者や車椅子,ベビーカー利用者などにとってバリアフリーの観点から支障となっていることに加え,少子高齢化に伴う利用者の減少,著しく老朽化が進んでいるなどの課題が生じております。人が主役の魅力あるまちづくりを進める本市では,こうした状況を踏まえ,平成27年度に,本市が管理する40の歩道橋のうち,利用実態等から存続の必要があるものを除く18橋は原則撤去するとの方針を全国に先駆けて打ち出しました。このうち,早急に進めるとした10橋は国費も活用し今年の夏までには全ての撤去が完了する予定であり,残る8橋につきましても,通学路の安全確保等に関する地元の御意見を十分にお聴きしたうえで,順次撤去に向けた手続を進めてまいります。一方,一旦存続することとしたものにつきましても,一定規模の補修を行う際には利用実態や歩道橋を取り巻く諸課題を踏まえ,存続の妥当性について再度検証してまいります。 次に,国が管理する市内の横断歩道橋につきましては,撤去方針を策定した際に,国には本市の考えをしっかりと御説明し,御理解を得ております。右京区にある国道9号五条春日交差点の歩道橋は,本市のこうした働き掛けが実を結び,去る2月6日,撤去に至ったものでございます。今後も引き続き国との連携を密にしながら,歩くまち・京都に向けた取組を進めてまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 西山議員。 〔西山信昌議員登壇〕 ◆(西山信昌議員) 次に,障害のある児童の中学校進学についてお伺いします。明治2年に全国に先駆けて誕生した番組小学校。学校の建築や運営のための資金を地域の皆さんによる寄付で賄われた,地域による,地域のための学校であり,この番組小学校が創設されてから本年で150周年の佳節を迎えます。このことから分かるように,京都市においては,地域の子供は地域で育てるとの理念が息づいており,現在でも小・中学校で合同の学校運営協議会が増加するなど,学校と地域が両輪となって子供たちの成長を支えていると感じます。こうした京都市ならではの良さやすばらしさがある一方で,学校の新設や統合なども含めた学区の成立の経過から,必ずしも,自宅から一番近い学校が,通学すべき学校とはならない場合があります。特に,障害のある児童の方が中学校へ進学する際,自宅近くに中学校があるにもかかわらず,遠くの中学校へ通わなければならない場合,通学に困難を感じ不安を覚えられることがあるという風に言われます。 京都市においては,指定校以外の小学校,中学校に就学をするには,通学区域外就学事務取扱要綱によって要件が定められており,学年途中の転居など機械的に判断できる10の要件が例示規定されるとともに,特別な事情による教育的配慮が必要な場合に,市内での区域外就学を許可することがあるとされているところであります。この特別な事情に該当するものとしては,心身の障害,いじめ,不登校などを想定するものと思われますが,京都市においては心身の障害を事由とした区域外就学が許可されることは極めて少ないという風に聞いているところであります。これは,区域内就学が前提となりすぎており,特別な事情による区域外就学を選択肢とできていないといった事情があるのではないでしょうか。 一方,他の自治体においては,心身の障害などの事由を例示規定とされているところも多数あります。確かに,障害種別などの児童の状況,通学距離や安全上の課題など,様々な個別の状況を検討しなければいけませんので,障害があることのみをもって,画一的に区域外就学の要件として示すことは,かえって混乱を招き,不適切となる場合も考えられます。 そこで,質問します。障害のある児童の中学校進学に当たっては,児童・保護者にとって,遠くの指定校か,バス通学の総合支援学校かの二者選択ではなくて,近くの指定校以外の中学校も検討できる状況とすべきであると考えますが,いかがでしょうか。 最後に,結婚新生活時の支援についてお聞きします。小さな声を聴く力は,公明党の大きな持ち味です。現在,公明党青年委員会は,全国でボイスアクション2019を展開しております。ボイスアクションは,若者向け政策案の中から最も実現してほしいものを選んでいただくアンケート調査で,回答結果を今後の政策に反映させる運動です。政策案の中には,引き続き最低賃金をアップさせ,全国平均時給1,000円を目指す,消費税軽減税率の円滑実施,住宅ローン減税や家賃補助などの拡充などが盛り込まれており,全ての政策案は,公明党の国会議員と若者の皆さんとの懇談会や,党独自の実態調査から得た生の声を基に練り上げられたものばかりです。 さて,結婚する男女が減少する傾向が続いております。厚生労働省によると,2018年の婚姻件数は約59万組となり,戦後最少を更新いたしました。この背景には,結婚観の多様化なども指摘されていますが,経済的な理由も大きいものと考えられます。国立社会保障・人口問題研究所が,結婚意思のある未婚者に結婚の障害となる理由を調べたところ,挙式や新生活のための準備のための費用となる結婚資金との回答が男性で43.3パーセント,女性で41.9パーセントに上り,最も多くを占めました。また,結婚のための住居との回答も男性で21.2パーセント,女性で15.3パーセントに上りました。また,内閣府の調査によれば,行政に実施してほしい取組として,結婚や住宅のための資金貸付や補助支援などが第3位となっています。これらの調査結果を踏まえて,政府においては日本一億総活躍プランに基づいて,結婚支援や子育て環境の充実を重点的に推進されています。 公明党は,2016年に全国で行ったボイスアクションを踏まえて,新婚世帯への支援など青年政策の充実を安倍晋三首相に要請してまいりました。そして2015年度補正予算において,結婚新生活支援事業が初めて予算化をされるなど,強力に推進をしてまいりました。自治体の取組を支援する地域少子化対策重点推進対策交付金は,2019年度の国の予算においても今年度同様10億円が確保されております。結婚新生活を始めるに当たって経済的な負担を軽減する住居費や引っ越し代を補助する結婚新生活支援事業は,この交付金の大きな柱の一つです。現時点で250以上の自治体にも広がりを見せております。結婚を望みながらも経済的な理由から結婚に踏み出せない人が増えれば,出生数の低下につながり,少子化が更に加速するおそれがあります。経済的負担を軽くする支援が求められております。 京都市においても,人口減少・少子高齢化が進み,若者・子育て層の人口が転出超過となるなど,若い人が京都で結婚をし,子育てしやすい環境を構築することは非常に重要な課題と言えます。結婚しても大好きな京都に住みたい,子育て環境日本一の京都で子育てをしたい,このような若い人たちの願いをかなえるためにも,他都市で実施されているような結婚新生活を迎えるに当たっての住居費や引っ越し代などを補助する結婚新生活支援事業を創設するなど,結婚新生活に向けた支援を進めるべきと考えますが,いかがでしょうか。 以上で私の質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(湯浅光彦) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 結婚新生活に向けた支援についてお答えいたします。京都市においては,少子高齢化が進むと同時に,近年,都市格の向上に伴う市内中心部の地価上昇などもありまして,若者・子育て層の人口が転出超過となっております。一方で,この都市の魅力の向上に伴いまして,京都に住みたい,学びたい,働きたい,そして子育てをしたいと考える若い世代は増えておるわけでございまして,その期待に応える環境を整え,若い世代が将来にわたって京都で暮らし続けられるまちづくりが求められているところでございます。若い世代に手が届く魅力的な住宅が十分に供給されない,あるいは,働く場となるオフィスや産業用地が不足しているといった課題に正面から向き合うべく,将来にわたって安心安全で暮らしやすく,魅力や活力のある都市であり続けるための持続可能な都市の構築を目指すプランの策定に現在取り組んでいるところでございます。同時に,空き家の流通促進や保育所待機児童ゼロ,小中一貫校の整備をはじめとする子育て・教育環境日本一の取組の更なる充実など,あらゆる施策を融合させ,子育て世代が安心して住み続けられる取組を推進してまいります。 御提案のございました新婚家庭への住居費,あるいは引っ越し費用の助成につきましては,個別支給による対応の限界,あるいは本市の厳しい財政状況等も勘案いたしますと,慎重に考えざるを得ない部分がございますが,先ほど申し上げた施策融合の取組に加えまして,市営住宅においても,従来からの子育て世帯の入居収入要件の緩和や,子育て世帯向けにリノベーションした市営住宅の供給と併せまして,今後は,新婚世帯の入居収入要件についても緩和するなど,若者・子育て世帯への支援につながる住宅政策の充実に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 障害のある児童の中学校への進学についてでございます。本市におきましては,育成学級を対象者がおられる全ての学校に設置しており,障害のある児童につきましても,地域とのつながりが大切であることから,原則としては,通学区域の学校に就学していただくことが適切であると考えております。そのうえで,教育的な配慮が必要な場合の区域外就学につきましては,これまでから学校におきまして障害を理由とした場合の個別の事情を聴き取ったうえで,総合的な判断の下に認めてきております。西山信昌議員御指摘の中学校の育成学級へ進学する際の児童及び保護者への就学相談についてでございますが,小学校の育成学級に在籍する児童につきましては,障害や発達の状況,学校での学習や日常生活の様子などに加えまして,通学状況につきましても実態を把握するよう,学校が就学相談を行う際の手引に記載し実践してきております。また,保護者や児童の進学先の希望につきましても聴き取るとともに,進学予定の中学校や総合支援学校についての情報提供や学校見学を行うなど,一人一人の状況に応じた適切な教育の場についての相談を丁寧に進めており,個別の事情を勘案したうえで,区域外就学についても認めてきております。 今後とも,障害のある子供たち一人一人が安心して中学校へ進学できるよう毎年開催いたします教員研修会や説明会等を通じまして,就学相談時に通学状況の確認を必ず行うよう改めて学校に周知いたしますとともに,本来校への通学や本来校の施設面等に学校生活上課題があるときなどにつきましても,引き続き,区域外就学も一つの方策として,きめ細かく対応するよう学校に徹底をしてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(湯浅光彦) 暫時休憩いたします。 〔午前11時43分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○副議長(湯浅光彦) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(湯浅光彦) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 鈴木マサホ議員に発言を許します。鈴木議員。 〔鈴木マサホ議員登壇(拍手)〕 ◆(鈴木マサホ議員) 左京区選出の鈴木マサホです。私は昭和62年,1987年,今川市政の末期ですが,初当選を果たしました。2年後に昭和から平成になり,平成の時代の30年を駆け抜けてきたことになります。国民・みらい京都市会議員団を代表して,天方浩之議員と共に質疑をいたします。 市長は,年頭の訓示で,文化を基調としたまちづくり,レジリエント・シティ,そしてSDGsをしっかりと融合していく。歴史に学び,今を見詰め,未来社会をデザインし,願いを立てて,市民ぐるみで,京都はもとより日本,世界を視野に行動していく年にしたいと述べられています。そこで,レジリエンスという言葉をキーワードに質問をいたします。 2019年の予算案,一般会計7,944億円の編成については,誰一人取り残さない持続可能なまちを実現する予算と銘打って,基本姿勢に自然災害,人口減少,経済,子育て,地域コミュニティなど,現場での担い手不足など都市を取り巻く危機が顕在化する中,京都が培ってきたレジリエンスを理念として位置付け,SDGs達成の観点も踏まえ,誰一人取り残さない持続可能なまちづくりを推進する。2,行財政改革の徹底により財源を捻出し,市民生活の安心安全,全国トップレベルの福祉,医療,子育て支援,教育を維持・充実させ,京都の強みをいかした成長戦略を積極的に推進する。3,「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画第2ステージの307施策を着実に前進させるとされています。特に重視した政策の柱として,安心安全で子育てしやすいまちづくり,京都の強みをいかした豊かさを実感できるまちづくり,参加と協働による市民,地域が主役のまちづくり,この三つの政策を柱に組まれました。 まずは財源であります。収支不足見込額を事業の見直し,職員の削減など財政構造改革を進め,投資的経費の抑制に基金の活用などでやり繰りをされました。歳入ですが,市民税の個人分を8年連続,固定資産税を7年連続の増収を見込み,特に法人分については,昨年度の当初予算より約50億円増額すると見込まれることは喜ばしいことですが,アメリカと中国の貿易戦争がどう動くか,今後注視すべきことであります。地方交付税は三位一体改革により,最盛期より250億円減額になっていることが京都市財政のぜい弱さに追い打ちを掛けてきました。宿泊税については42億円と見込まれています。 一方,歳出ですが,議員団としては,各事業についてゼロベースで見直すことを要望しておりましたが,未来の京都のためにも安心安全なまちづくりは大切です。昨年の災害を教訓として,都市生活基盤の復旧,被災者支援などに総額126億円を組み,また,河川改修,橋りょうの耐震化など,防災・減災に係る予算は500億円を確保されています。災害に強い市民の安心安全なまちづくりに資する予算だと思います。 また,行財政改革により財源を捻出し,子ども医療費支給制度の拡充,6年連続の待機児童ゼロの継続に向け,保育所等の受入枠の拡大や保育の担い手確保のための取組や,また,児童虐待の未然防止のための機能強化など,子育て・教育環境の充実など社会福祉費においても手厚く確保されたと考えます。市長にとってこの1年は3期目総仕上げの年になりますが,予算編成での苦労,そして実行に向けての決意をお答えください。 なお,議員団として,2019年度予算編成に関して,昨年末に重点要望に19項目,要望72項目,地域要望12項目の予算要望を提出しています。そのうち73項目を予算措置し,28項目を前向きに取り組むとの回答が来ていますが,評価をしておきたいと思います。 さて,レジリエント・シティのことであります。レジリエントとは市民になじみのない言葉です。回復力,復元力,あるいはしなやかな,強じんななどと説明がされますが,難しい言葉であります。この間,ロックフェラー財団からレジリエント・シティとして世界の100都市から日本では富山市に次いで選定され,藤田裕之元副市長がレジリエント・シティ京都市統括監になり,伝道に努めてこられました。レジリエントは,アメリカの同時テロを契機に,地震やテロ,台風などの災害を突発的なショックとして,いかに都市が回復,復興するか,一方で,内的ストレスとして,少子高齢化,人口減少,地球温暖化や環境汚染が進む社会に対してどのように対処していくのかが命題になります。 まずは突発的なショックであります。今年は災害がないことを祈りつつ,昨年は相次ぐ京都を襲った災害,大阪北部地震,集中豪雨,特に台風21号の暴風被害の教訓をどういかすのか,災害に強いまちづくりをどう進めるかが大きな課題であります。集中豪雨において,特に避難所の開設も含めて,自主防災会や消防団の皆さんが努力をされましたが,情報の伝達の共有不足が明らかになっています。また台風21号の暴風では,住宅や農林業や文化財に多くの被害があり,特に左京区の山間部では倒木により,長期にわたり道路が通行止めとなり,また,停電が続き市民生活に大きな影響が出ました。人命が失われることがなかったことは幸いでした。また,地域住民が倒木の処理などにも協力して復旧が迅速にされたことは,正に京都が培ってきた地域力のたまものであると思います。 また内的ストレスとして,人口減少・超高齢化社会を迎えます。社会の危機と捉えて,いかにしなやかに対応できるまちを目指すのか。自助・共助・公助の在り方を問い直しながら,より良い地域づくりを進めなければなりません。そのためには,現役世代への真のワーク・ライフ・バランスを推進し地域社会への参画と,我らシルバー世代が元気に暮らし活躍することが地域コミュニティの活性化につながり,学生やNPOや事業者がより積極的に地域社会への参画を促すことがレジリエンスの原動力になるという風に考えます。新たな地域力の創造を図らなければなりません。京都市レジリエント戦略をこれからどのように展開するのか,市民と共有するのか,地域力という視点からお答えください。 ところで,台風21号の暴風による倒木には驚きました。左京の至る所で倒木の被害がありました。鞍馬,貴船,あるいは花脊峠への杉木立の倒木は,山の風景をすっかり変えてしまいました。そこで倒木対策について質問します。先日の京都府議会代表質問で府民クラブの北岡ちはる府議会議員が,倒木被害で森林所有者が意欲を失い,林業振興にも支障を来している。森林保全の取組を含めた防災・減災対策の推進が必要だと訴えています。西脇知事は,危険性の高いところは,府が独自に撤去する事業を創設して,減災対策と森林保全に取り組むなど答弁されています。京都市は,災害復旧に向けた倒木対策の推進のために,被害木の伐採や搬出,撤去,森の再生に向けた植林など,倒木現場の状況に応じた支援を実施するということですが,京都府や林野庁との連携も必要であり,また,山主地権者との協議など課題は多いがどのようにされるのか,御答弁ください。また,倒木した木を木材として活用を図るべきだと考えますが,いかがですか。お答えください。 地球温暖化は世界で解決しなければならないレジリエンスの命題の一つです。京都議定書が発効したCOP3から20年余,今年は国連気候変動に関する政府間パネル・IPCCの国際会議が5月に京都で開催されます。この機会に,京都宣言を国内外に発信すること,また,原発に依存しない京都市エネルギー政策推進のための戦略を推進して,環境先進都市を目指していただきたい。 また,デンマークへの海外視察団として科学地球儀の設置の提言をしましたが,青少年科学センターに出来ることは喜びであります,2月23日には内覧会があり参加してまいりました。名称を公募されるということであります。この地球儀を活用して,地球温暖化や宇宙に浮かぶ奇跡の島・地球の未来を考える教材になるように要望しておきます。 さて,人生100歳時代。レジリエンスで言うところの内的ストレスは,我々団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題です。後期高齢者が人口の20パーセント近くになる,超高齢化社会が到来します。介護や医療,年金など大きな課題になります。私ごとですが,近くの広場での公園体操に皆さんと共に汗を流しています。地域の高齢者の交流の場でもあります。左京区では介護予防フェスティバルも開催され,社会福祉協議会などが高齢者の居場所づくりなどの取組が進んでいます。住み慣れたまちで健康に暮らす取組を進めなければなりません。同時に,介護が必要な高齢者も安心して暮らせるまちづくりを推進したいものです。2025年問題を控えて,いかに健康寿命を平均寿命に近付け,年齢を重ねても一人一人の命が輝き活力ある地域社会,健康長寿のまち・京都をどう地域力で実現するのか,御答弁ください。私も生涯現役で地域で高齢化社会に貢献できるように,これからも頑張っていきたいと思っています。 さて,近年,外国からの観光客が増加をしています。経済的には効果がある反面,市民生活に多大な影響を及ぼしていることも事実でありましょう。これもレジリエンスで言う内的ストレスとして捉えることができると考えます。 そこで,宿泊税のことについてお尋ねいたします。我が議員団は,宿泊税の導入を求めてまいりました。2017年11月市会で,違法に営業している宿泊施設を確実に捕捉し徴収すること,住んでよし,訪れてよしのまちづくりに活用し効果を実感できる取組,使途の透明性を確保し,議会及び市民への情報公開,宿泊事業者の納税事務の簡素化と支援など,付帯決議を付けて可決し,昨年10月から実施されました。新年度予算には宿泊税が歳入として42億円計上されました。事業者には本当に御苦労をお掛けいたしますが,京都市にとって貴重な財源となり,有効に活用することが大切です。 さて,この宿泊税,昨年から徴収が始まっていますが,実績はいかがでしょうか。大事なのは,宿泊客の理解を得ること。適正に宿泊税を支払ってもらい,納税事務の簡素化等も必要でありますが,宿泊事業者の協力を得て京都市に納めてもらわなければなりません。同時に,違法な民泊や簡易宿所の指導や査察も怠ってはなりません。今後の見通しと徴収対策についてお答えください。 また,宿泊税を財源として,現下の観光課題を早急に解消し市民生活との調和を図る取組として,混雑対策,民泊対策,宿泊事業者支援対策,受入環境整備,文化振興など,住んでよし,訪れてよしのまちづくりに幾つかの事業が予算化されていますが,その事業効果についてどう考えているのか,お答えいただきたいと思います。 さて,市バス事業においては,民間バス会社が管理の受委託を受けないとの表明があり,黒字経営を続けてきた市バス事業は大きな転換期を迎えました。10年間の経常赤字が単純合計で53億円を超える見通しであります。これもレジリエンスの観点からすれば,予想される経営上の苦境をどう乗り越えるかであります。新経営計画の策定に向け,有識者委員会は,厳しい経営環境を乗り越え,市バスの混雑問題の解決,増収対策に重点を置いた経営基盤の確保と,民間交通事業者との連携による利便性維持の必要性,安易な運賃改定に頼らないように注文し,一日券の料金や制度の点検も求め,運転士不足が深刻になる中で,市バスと民間バス,地下鉄などを一つのネットワークとみなして路線の在り方を検討する必要性にも言及しています。市バスの乗客が増えるのは喜ばしいことですが,観光路線の混雑対策をどう解決されるのか,これは喫緊の課題であります。そして,いかにして,運転士不足などやまた経営面での苦境を乗り越えようとしているのか,市民の足を何としても守るという気概でオール市役所での取組を求めます。市長の決意をお聞かせいただきたいと思います。 さて,今年は左京区90周年を迎える節目の年であります。平成の時代の左京を簡単に振り返っておきますが,大見総合公園計画や大文字山ゴルフ場計画,一条山の乱開発など自然破壊と乱開発などへの対応に苦労したこともあります。また最近では,高野パチンコ店計画や葬儀場建設問題も記憶に残っているところであります。一方,京阪電車の地下化,地下鉄烏丸線の国際会館までの延伸,二ノ瀬トンネルの開通,また,北部山間部の地域水道の設置や,静原,鞍馬・貴船,大原の下水道設置など大きな前進を見ました。ロームシアターの開館,動物園のリニューアル,そして美術館の再整備など岡崎の活性化も進みました。一方,2013年の台風18号の被害,昨年の集中豪雨,台風21号の倒木被害,停電も経験いたしました。これら左京区の様々な課題の解決や国への要望の実現に同僚の議員や行政職員,そしてまた左京区民と共に知恵を出し,左京区の発展と市民生活の向上に私も努めてこれたことに感謝をしたいと思います。 さて,区役所が松ケ崎に移転して7年。現在,高野川の北泉橋の架橋工事が進んでいます。地元住民と協議しながら早急なしゅん工と道路の拡張の早期実現を果たしていただきたい。そして区役所へのコミュニティバスの試行実験など交通アクセスの改善を要望しておきます。 また,宝が池公園運動施設に体育館がこの8月にしゅん工を迎えます。振り返れば平成9年でしたか,体育振興会の要望を受けて左京選出の議員が一丸となって紹介議員になり請願も採択して20年。ようやく体育振興会をはじめ多くの関係者の念願がかないました。今後も,関係者や区民から大きな期待が寄せられています。今年はラグビーワールドカップも開催されますが,球技場も改修するなど更に魅力あるスポーツ公園としていただきたいと思います。要望しておきます。 平成の時代の30年間,京都市会は,市会基本条例の制定や政務活動費の公開など市民に開かれた市会に大きく変わりました。また,手話言語がつなぐ心豊かな共生社会を目指す条例など,議員提案の条例も幾つか成果を生みました。諸先輩や同僚議員と共に活動できたことを誇りに思います。一昨年の本会議で永年30年の表彰の議決をいただきましたけれども,本当にありがとうございました。感慨無量であります。 最後に,私たち国民・みらい京都市会議員団は,子供を安心して産み育てられる社会,楽しく年を重ねられる社会,災害に強い安心安全なまちづくり,豊かな暮らしができる社会,いつまでも輝き続けられる社会の実現,未来につながる京都づくりを実現するために,これからも奮闘する決意であります。 これにて質問を終わりたいと思います。皆さん,御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 鈴木マサホ議員の御質問にお答えいたします。 まず,来年度予算編成についてでございます。私が市長に就任した当初,全会計の連結実質赤字が373億円に上り,本市財政は危機的な状況にございました。この間,徹底した行財政改革の断行,国と一体となった成長戦略の推進,全庁を挙げた増客の取組等による市バス・地下鉄事業の大幅な経営改善等により,全会計の連結実質赤字の解消はもとより,個人市民税が8年連続で増加するなど,その効果が着実に現れてきております。しかし一般財源収入は,三位一体改革による国からの地方交付税等の減により,ピーク時から大幅に減少しております。こうした厳しい状況の中でも,全国トップレベルの福祉,医療,子育て支援,教育を何としても維持・充実させていかなければなりません。加えまして,昨年の相次ぐ災害からの復旧等に126億円もの財源が緊急に必要となりました。本市財政にとって,これらの財源確保は極めて厳しく,事業見直しや人件費の削減など行財政改革を徹底してもなお財源が不足し,特別の財源対策を講じざるを得ませんでしたが,こうした措置がいつまでも続けられるものではありません。この間,市民の皆さんの御理解・御協力の下,京都の魅力・都市格が大きく高まってきており,産学公・地域との連携によるイノベーションのまちとして注目され,様々な人や企業が育ち,集まってきております。こうした流れを加速させるためにも,行財政改革と同時に,京都の強みをいかした成長戦略を更に推進し,市民生活の豊かさ,将来の担税力の強化,ひいては財政の健全化につなげるよう全力を尽くしてまいります。 次に,京都市レジリエンス戦略についてでございます。本市では,地域力・市民力によって,様々な危機を乗り越えてきた歴史を踏まえつつ,先行き不透明な将来に向けて,自然災害等の外的ショックや,少子高齢化,人口減少等の内的ストレス等の危機に備えるための取組指針として,京都市レジリエンス戦略の策定に取り組んでおります。強じんでしなやかなまちの基礎となるのは,常日頃から人と人が様々な機会に集い,心を合わせて活動する地域力であります。鈴木議員からお話のございました公園体操は,正にその地域力を向上させる好事例でございます。楽しみながら健康づくりに取り組むことが元気な高齢者の地域への参加を促し,さらにそれが地域での子育て支援,地域に根差した福祉の充実,ひいては防災活動などにもつながってくるなど,好循環が生まれてまいります。戦略の展開に当たっては,これまで行ってきた地域コミュニティ活性化の取組を,レジリエンスをキーワードに改めて点検し,取組相互の連携を深めるとともに,特に,地域活動に参画する機会が少なかった現役世代,シルバー世代や企業,大学,NPOといった団体にも御参画いただき,地域に新たな息吹を吹き込んでいくことが重要であると考えております。京都が誇る地域力に更に磨きを掛けて,それを原動力にレジリエント・シティを実現する,さらには誰一人取り残さないSDGsの実現に向けてもしっかりと政策を融合して取り組んでまいります。 次に,市バス事業についてでございます。一部の路線で生じている市バスの混雑対策は喫緊の課題であり,前乗り後降り方式の導入や大型手荷物に対応したバス車両の導入拡大など,様々な取組を進めております。また,取組の視点といたしまして,通勤や通学などの日常的な御利用と観光利用とをできるだけ分離し,市民の皆様の利便性向上につなげることが重要と考えております。このため,観光系統を一目で識別できるラッピングバスの導入や,新たに多くの観光客が御利用になる,例えば金閣寺道停留所を観光系統と生活系統に分離するなど,創意工夫を凝らしながら全力で取り組んでまいります。 次に,担い手不足につきましては,全国的なバス運転士の不足を受け,昨年度から採用後に大型二種免許を取得させる形態のバス運転士の採用を開始しており,今後も京都市自らが担い手,運転士を育成する取組を強化してまいります。今後の経営に当たりましては,厳しい経営環境を踏まえ,民間とも連携したお客様目線に立った利便性の向上や,市バス84系統のうち6割近くを占める赤字系統の利用促進を市民ぐるみ,地域ぐるみで取り組みまして,市バス・地下鉄が一体となった経営基盤の強化を図ってまいります。同時に,不断の経営努力を重ねつつ,的確な経営判断を行い,赤字系統を廃止することなく,市バスが市民にとって持続可能なまちづくりを支えていくことができるように全庁挙げて取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 健康長寿についてでございます。高齢者の身体機能は20年前と比べ10歳若返っております。これは,就労はもとより,ボランティア活動や健康を保つための運動などを行う方が増え,社会貢献の意欲にあふれる高齢者が増加していることを示しており,現に自治会や社会福祉協議会活動,防災や子育て支援など,安心安全のまち・京都を担う多くの力が高齢者の方々によるものであります。2021年には,京都から始まるワールドマスターズゲームズ関西がアジアで初めて開催されます。おおむね30歳以上の誰もが参加できる世界最大級のスポーツの祭典であり,これを契機にスポーツを楽しむ暮らしが更に広がり,また,スポーツの仲間と一緒にボランティア活動を行うといった社会参加を促進していくことで,元気な高齢者が更に増える,こうした好循環が望まれます。 現在,本市においては,113もの団体で構成する健康長寿のまち・京都市民会議を設け,健康長寿いきいきポイントなどを通じ,楽しく参加しやすい地域ぐるみの健康づくりを進めており,いわゆる団塊の世代が後期高齢者となる2025年が間近となっておりますが,今後とも,人生100年時代の中にあって,高齢者の皆様が地域の主役として活躍できる社会の実現に向け取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 宿泊税についてお答えいたします。宿泊税は,昨年10月から徴収を開始しておりまして,2月8日時点で約10億円,これは対象施設から納入されるべき推計税収の対比で95パーセントが納入されております。多くの宿泊事業者には,本事業の趣旨を御理解のうえ,適切に徴収・納入していただき,深く感謝を申し上げる次第でございます。 条例制定時の平成31年度の税収の見込みは,観光庁の推計を基に,市内の延べ宿泊客数を推計し,45億6,000万円としておりましたが,31年度当初予算案では,昨年10月及び11月における宿泊客数の実績を基に算定し直し,41億6,000万円を計上いたしております。 次に,宿泊税の徴収については,当然,100パーセント徴収が目標になるわけでございます。期限までに申告のない事業者に対しては訪問指導を行っており,それでもなお申告されない事業者については,税務調査や強制徴収を実施してまいります。また,違法民泊については,旅館業法等に基づく指導と併せて強力に税の納入指導を行い,実績も挙げておるところでございます。また,納入いただきました宿泊税につきましては,観光地周辺のトイレの洋式化,一部の市バス,観光地における混雑対策,分散化,京町家の保全・継承,また,小・中学生による伝統文化体験の充実をはじめとする文化伝統産業の担い手育成など,市民・観光客双方の快適性,満足度を高め,市民生活と調和した観光振興を進めていく所存でございます。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 上田産業観光局長。 〔上田産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(上田誠) 倒木対策についてでございます。今回の倒木被害では,252ヘクタールにも及ぶ民有林に甚大な被害が生じており,2次災害が懸念されることから,既定予算を活用し,復旧に着手しているところでございます。今後の復旧に当たりましては,市民生活に大きな影響があり,被害面積の約3分の1を占める公道沿いや民家裏等の箇所から優先して3年以内に取り組むこととし,初年度となる来年度予算では1億2,810万円を計上しております。倒木被害のほとんどが民有林で発生していることから,この予算では,国や府の補助制度に加え,本市独自の補助率を通常より手厚くすることで,山林所有者の負担軽減を図ってまいります。さらに,倒木の積込運搬経費や公道沿い等における作業時の安全対策に要する経費についても,新たに本市独自の支援策を充実し,現場の状況に応じたきめ細かな対策を講じてまいります。 なお,被害地から搬出した倒木につきましては,既に大半がベニヤ板のほか,チップやペレットとして利用されているところであり,引き続き,有効利用に努めてまいります。 今後とも,倒木対策の実施に当たっては,本市の被害額が府下の8割以上を占めていることを踏まえ,府に対して財政負担を求めていくとともに,府の治山事業等も活用し,復旧に全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 次に,天方浩之議員に発言を許します。天方議員。 〔天方浩之議員登壇(拍手)〕 ◆(天方浩之議員) 西京区選出京都市会議員,天方浩之です。国民・みらい京都市会議員団を代表し,鈴木マサホ議員に引き続き代表質疑をいたします。 まず初めに,「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画第2ステージの検証と平成33年度からの新プランの策定について質問いたします。平成23年度から平成32年度までの10年間の計画である「はばたけ未来へ!京プラン」は,本市の都市経営の基本計画です。財政運営計画である平成28年度から32年度までの実施計画第2ステージでは,総人件費の削減,事業見直しなどによる財源確保,資産有効活用などによる歳入の確保,併せて実質市債残高の縮減に取り組んでいます。本市においては,京都市美術館,京都市役所本庁舎,南部クリーンセンター第二工場,中央卸売市場第一市場などの建替え等が着工中で,この大型事業は,第2ステージでは,公債償還基金等を取り崩すことを前提に,食,文化・芸術,防災,環境など,公的役割を果たすものであります。第2ステージに掲げている財政運営の目標を平成32年度までの2年間,着実に実施していくことは言うまでもありませんが,平成33年度からの次期新プラン策定については,来年度の予算で策定のための議論が開始されます。新プランは,公債償還基金などの取崩しはしないことを前提にしています。準備期間は2年間であり,計画づくりに励んでいただきたいと思います。 第2ステージでは総人件費の削減による財源確保が掲げられています。全国20ある政令指定都市の中でも京都市民1,000人当たりで見ますと,職員数は6番目に高く,一般職員の比率も3番目に高い現状にあり,新プランについては,削減の対象になる可能性があります。財源確保も大切な課題ですが,職員の削減だけを考えるのではなく,未来を考えたうえでの本市の組織である局や部や課の在り方を考える必要があります。いかがお考えですか。 現代において,本市では少子高齢化が進む中,たくさんの課題があります。例えば,高齢者では,老老介護,認知症,高齢者雇用など,少子化対策では,単身者の増加,ひとり親家庭の課題など,人権対策では,児童虐待,ひきこもり,LGBT,生活保護などがあります。平成29年度から子ども若者はぐくみ局が新設されておりますが,課題を克服することによって,今後も少子高齢化がますます進む中,構造的に社会福祉費が増加していくことに対しても一石を投じることになると思います。 資産有効活用などによる歳入の確保については,例えば市営住宅については,本市所有の八条団地のように,一部の土地を売却しファミリー向けの民間分譲マンションを建てるという事例がありましたが,民間の力を借り,公営住宅を残しつつ,新規分譲マンションを建てることによって,今後京都市以外の住民が入居される可能性がある事例です。現在,公営住宅の空き家率は25パーセントに及び,新プラン時には,財源確保のための本市所有土地を切売りすることも予想されます。一例として市営住宅を挙げましたが,本市の資産活用全般においても,今後地域住民の要望を聴くことを基本としながらも,民間に貸すことによる賃料の徴収や,本市が直接テナント料を取り,長期にわたる資産活用をするなど,本市の資産有効活用における財源確保の必要があると考えますが,いかがお考えですか。 事業見直しによる財源確保については,徹底した見直しは当然でありますが,今回本市に関わる大型公共事業と言われる京都市美術館は,本市として市民の文化力を高める視点で,京都市美術館を中心に岡崎のまちづくりを進めておられますし,中央卸売市場第一市場についても,隣接する梅小路公園,京都水族館,京都鉄道博物館やJR新駅の京都西梅小路駅が今後完成するなど,それらを核として,京都駅西部エリア全体としての可能性を秘めています。京都市立芸大については,京都駅周辺の東部・東南部エリアの核として文化・芸術を中心にまちづくりを進めると言われていますが,まちづくりを面的に展開することで雇用を生むことや観光客を呼び込むこと,新しい活力を作り,そのエリアの資産価値を高めることが必要です。そのエリアにおいて計画段階から経済効果などの指標を設け,エリア完成後,検証を行い,今後にいかしてはどうでしょうか。こうした視点で岡崎地域や京都駅周辺地域のまちづくりの検証をしていただき,今後もエリア単位でのまちづくりを進めるうえでは,経済効果を念頭に置いて進めていただきたいと思います。お考えをお聞きします。 次に,本市の真のワーク・ライフ・バランスの実現に向けて質問いたします。平成31年4月から働き方改革関連法が順次施行されます。時間外労働の上限規制の導入,年次有給休暇の確実な取得,正規雇用労働者と非正規雇用の待遇差の禁止など,事業者に対して義務付けられます。京都市の事業所の99パーセントは中小企業が占める中,本市では,市民の方々が人間らしく生き生きと働くことと同時に,家庭生活や地域での暮らしやすさを実感できるために,真のワーク・ライフ・バランスの実現に向け取り組んでいます。 本市は,平成30年3月,京都ならではの働き方改革に向けた現状分析・調査報告書を取りまとめました。少子高齢化により,生産年齢人口,現役世代と言われる働き手が減少するうえ,本市は全国平均より非正規雇用の割合が高く,特に女性の非正規雇用割合は男性の2倍以上であり,宿泊業,飲食・サービス業では非正規雇用者の割合が75.2パーセントになるなど,業界構造に関わる課題もあります。大企業が働き方改革に積極的に取り組む中,中小企業についても,7割以上が働き方改革に前向きに検討しているという一方で,既に実施されているのはその半数であると報告され,働き方改革が広がりにくい状況です。中小企業の経営者から,市場は生き物であり,売上不振,競争激化についても常々の不安がある中で,精一杯の経営をしている自負の下,いわゆる従業員のワーク・ライフ・バランスの取組に物理的に取り組む余裕がないのだという切実な思いを吐露される方もおられるとお聞きします。その会社で働く方のワーク・ライフ・バランスは,働きやすさを実感することが命題ですが,会社経営をするうえで,リーダーシップを執る経営者の活躍は,働く人の活躍とリンクするものであります。 そのような中,本市では3年前,京都の中小企業の優れたリーダーが中核となり,京都市中小企業未来力会議を創設。延べ1,164名の参加者の議論を経て,中小企業というネーミングについて,マイナスイメージを払拭することなどを目的に,昨年9月に京都・地域企業宣言を発表されました。今市会では,京都市地域企業の持続的発展の推進に関する条例が提案をされています。その理念も踏まえ,中小企業やその経営者に対し,本市がどう関わっていくかが課題であると考えます。いかがお考えですか。 あわせて,中小企業における担い手不足により,経営上の不安要素として,人手不足を挙げる京都の中小企業は35.2パーセントと過去最高水準になっています。本市では,中学生は生き方探究チャレンジ体験事業で地域の職場を実体験し,また,市立高校では,授業で労働法制の基礎を学ぶ状況です。一方,京都市内の大学を卒業される方の就職先は,京都府内就職率は16.4パーセントであります。そのような中,京都の大学で学ぶ学生の皆さんや親御さんも含めて,就職活動では大企業指向になりがちです。中小企業の活躍や本市が住みたい都市,暮らしたい都市であることを大学生の皆さんに知ってもらうことは重要ではないかと考えます。いかがお考えですか。 次に,歩くまち・京都総合交通戦略の進化について,質問いたします。平成22年1月に歩くまち・京都総合交通戦略が策定されてから10年目を迎えます。その基本理念の中で,市民生活のマイカー依存,観光地を中心とした交通問題などが課題であり,解消するには自動車利用の制限などをし,歩いて楽しいまちと暮らしに転換し,鉄道やバスなどの公共交通を整え,京都のまちの文化を守りながら,あわせて,新しいスタイルの公共交通も欠くことができないと記されています。そのような中,引き続きの課題では,高齢化対策,中心部と郊外の交通網の在り方,自転車人口の多いまちであることや,歩いて楽しいまちづくりにおけるスポットづくり。新しい課題では,目覚ましい発展・進化を遂げる自動運転の技術進化,外国人観光客の増加による市民生活との調和など,課題が存在しています。 自動運転技術が急速に進む中,平成30年3月にはシンポジウム,自動運転が変える京都のまちと暮らしを実施されました。あわせて,岡崎公園内では,社会実験として自動運転可能な電動小型低速車の体験乗車イベントも実施されました。同年9月には左京区大原において,グリーンスローモビリティの体験乗車イベントが開催されました。グリーンスローモビリティとは,電動で時速20キロメートル未満で走行可能な4人乗り以上のモビリティとされており,地域の様々な交通課題の解決に資する低炭素型モビリティとして国土交通省が導入を検討しています。左京区大原での有人運転による試乗が実施されましたが,現在でも,軽自動車,小型自動車としての登録により,公道走行可能であり,市民の生活の足,高齢者の足,交通不便地域,観光地での利用などの期待に対応できるものであります。例えば,西京区洛西地域は,最寄りの鉄道駅からは郊外に当たる地域ですが,洛西ニュータウン内でのサブセンターや公園などをベースに乗捨て型の仕組みを作り,住民の生活の足にしたり,観光資源の多い大原野や細街路や坂道が多い大枝・桂坂学区での利用もいいのではないかと考えます。西京区洛西においての例示を示しましたが,広く本市においての歩いて楽しいまちづくりに寄与するものであります。いかがお考えですか。 また,外国人観光客は,当時の想定よりもたくさん入洛されている状況です。平成28年市長マニフェストでもうたわれた本市北側,高雄・京北から鞍馬や,南側,洛西から山科・醍醐への幹線道路づくりなどによって,ボトルネック解消のうえ,郊外が車で走りやすいというイメージづくりをし,市内における車流入抑制を図ることは重要です。鉄道と並んで公共交通としての核としてのバスについては,引き続き,バス専用レーンやPTPS信号機などの更なる設置を望みます。 あわせて,渋滞が発生するバス道については,住民に告知するなど,御協力を得られるよう取組を求めます。バス交通網の充実は,通勤・通学としての市民の足として十二分に機能を発揮してもらうのと同時に,観光客の分散や郊外においての歩いて楽しいまちのスポット巡りをするうえで,バスは必要不可欠であるからです。これまで取り組んでこられた総括と今後における課題や住民要望を聴き,10年目を迎えた歩くまち・京都総合交通戦略の更なる進化を望みます。いかがお考えですか。 最後に地元西京区の洛西地域のまちづくりについて,質問いたします。平成28年2月,3選を果たされた門川市長の公約に基づいて作られた平成29年3月策定の洛西ニュータウンアクションプログラムに基づき,洛西ニュータウンでは地域活性化に取り組んでいるところです。洛西ニュータウンは,昭和51年に入居が開始され,当時の計画人口4万900人を達成しましたが,平成27年国勢調査によると,現在,2万2,899人です。その中身は,急速な少子高齢化を迎え,交通問題,買物環境の充実など,引き続き課題が存在しています。そもそも,平成18年11月に策定された洛西ニュータウンまちづくりビジョンは,洛西ニュータウンアクションプログラムの土台となるべく,住民の皆様で議論を尽くされたものです。その目指すまちの姿は,緑とゆとりを守り,各世代が支え合い,心豊かに共生できるまちとし,自然や緑がいっぱいの洛西地域の環境資源を十分にいかすことが大事とされています。 しかし今後,洛西地域では,京都市立芸大跡地,福西小・竹の里小・西陵中との小中一貫校の創設やその後の跡地,市営住宅の取扱い,サブセンターの在り方など,ハード面の整備が課題として予想されます。今後,環境が大きく変化していくことを考え,改めて住民の皆さんの意見が聴ける場が必要ではないかと考えます。いかがお考えですか。 今後のまちづくりの在り方には,隣接する地域との連携が必要です。大原野地域は古代から開かれた場所で大陸からの渡来人の秦氏が住み始めた伝統のある地域です。大枝は明智光秀が本能寺に向かうことを決断し,折り返した地域でもあります。共に古くからお住まいの方がおられ,米,野菜,タケノコ,柿などの産地でもあります。桂坂学区は昨年,学区30周年を迎え,京都大学第三キャンパス,日文研などがあり,閑静な住宅街が並ぶまちです。そのうえで,大原野・大枝・桂坂の特色をいかしつつ,洛西ニュータウン単体で考えるのではなく,スケールメリットをいかすまちづくりが必要です。いかがお考えですか。 あわせて,そのうえで伝統ある大原野地域については,本市において重要な農業振興地域として位置付けておられますが,それを核として大原野ブランドの育成に励んでおられます。大原野のまちづくりが洛西全体の活性化を生み,本市全体に広がるものでなければなりません。大原野・大枝地域周辺では,にそと大原野インターチェンジ,沓掛インターチェンジが出来,南北には大山崎大枝線第1工区,東西は小塩山大原野線が建設されました。現在では,中山石見線の事業が続行中ですが,建設後は洛西ニュータウン南側で接続されます。本市による都市計画に基づく幹線道路建設によって,大原野・大枝地域周辺の環境変化が生じています。大原野上里地域では,農業を大切にしながらも地区計画を検討され,暮らしやすいまちづくりを進めようとされていますが,今後は広く大原野・大枝地域で活力あるまちづくりを進めるうえで,お住まいの方が今後も議論を尽くされた結果,必要とされるものについては,本市も十分な対応を採るべきであると考えます。いかがお考えですか。 以上で私の質疑を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 天方浩之議員の御質問にお答えいたします。 中小企業,地域企業における働き方改革についてでございます。本市会に提案しております地域企業の持続的発展の推進に関する条例では,若者をはじめ多様な担い手の育成や活躍を掲げており,その実現のためにも,働き方改革の推進が非常に重要でございます。本市では,今年度,働き方改革が難しいとされる業種や小規模事業者等の中から,飲食,小売,建設業者など7社をモデル企業に選定し,働き方改革に挑戦いただきました。私自身,モデル企業で働かれる皆様との座談会に参加し,従業員と経営者が膝を突き合わせて対話しながら実践を続けることで,従業員も経営者も意識が変わり,社業の発展のみならず,地域社会の貢献にもつながっている様子を肌で感じ,深く感動しました。このすばらしい取組を,事例集の発行やセミナーの開催等を通じ,同様の課題を抱える地域企業にもしっかりと広めてまいります。さらに,1日に約4,000件のアクセスがあり3,800社が登録されている京都の地域企業,中小企業の魅力を紹介するウェブサイト,京のまち企業訪問において,企業が働き方改革の取組を自己診断し,その結果を発信できる仕組みを構築したところ,開始から4箇月で700社がこの仕組みを活用されるなど,取組の輪が大きく広がってきております。今後も,ウェブサイトや,わかもの就職支援センターでの地域企業と大学生との交流会などを通じまして,学生が働き方改革を実践する京都の地域企業の魅力を知り,京都で働くことにつなげてまいります。 次に,洛西地域のまちづくりについてでございます。洛西地域は近年,JR桂川駅や阪急洛西口駅の開業,バス事業者4社での1日約400本に上るニュータウンと駅とを結ぶバス便の充実,にそと大原野インターチェンジの整備など,交通利便性が大きく向上し,京都の西の玄関口としての重要性がますます高まるとともに,市立芸術大学の移転後の跡地の総合的な活用も可能となります。とりわけ,洛西ニュータウンでは,徹底した市民参加の下,小中一貫教育校の創設など教育環境の向上や若年層の住宅確保,公園の再整備,サブセンターヘの商業施設の誘致等々,次々と動き出しており,今後,更にまちづくりの進捗に応じて,幅広い住民参画の下で立ち上げた洛西ニュータウンアクションプログラム推進会議の活動の充実など,地域一丸となった取組を推進いたしてまいります。また,天方議員御指摘の大枝・大原野・桂坂等,特色ある地域における農業・観光・学術といった資源や,大原野地域ブランド戦略をはじめとした地域の方々による熱心な活動を洛西ニュータウンアクションプログラム等の取組としっかりと連携させまして,相乗効果を図ってまいります。洛西地域の全体が魅力と活力に満ち,暮らし続けたい,訪れたい,さらには働きたいエリアとなるよう,引き続き関係施策をしっかりと融合させ,積極的に取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 私からは組織の在り方について御答弁申し上げます。人口減少社会・少子高齢化の克服をはじめ,現在の重要課題に的確に対応すると同時に,京都の未来を見据えた持続可能なまちづくりを進めていくためには,組織の効率性を確保しつつ,柔軟で機動的,かつ実行力のある体制を構築することが重要でございます。このため,これまでから,子ども若者はぐくみ局の創設をはじめ,京都の未来を支える財源創出プロジェクトチームの設置や,京都経済の更なる活性化のための用地を創出する体制の整備,民泊対策に特化したチームの設置など,時機を捉えた組織の見直しを行いますとともに,必要な部署には,必要な人員をしっかりと増員してまいりました。また,来年度におきましても,児童虐待の根絶と子育て家庭への支援の充実のため,児童相談所及び全区役所・支所に合計15名の係長級職員を増員いたしますとともに,京都経済百年の計である京都経済センターとの連携強化や地域企業への支援,市民の命と暮らしを守る防災・減災対策を推進するための体制整備などを行います。今後とも,局や部との在り方を含めまして,京都の今と未来を見据えた実行力の高い組織体制の構築に努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 資産の有効活用による財源確保についてお答えいたします。市有資産の活用に当たっては,まずは,公共性・公益性を重視した政策的な活用を図るべく全市的な視点から検討しております。そのうえで,社会全体で有効に活用することが望ましいと考えられる資産につきましては,地域の活性化,より魅力のある地域づくり,財源確保の観点からも,地域の皆様の御理解を得ながら積極的に売却あるいは貸付けを進めております。例えば,学校跡地の活用でございますが,早い段階から事業者の提案概要を地域の皆様にお知らせして意向を聴取し,跡地活用の計画にその意向を的確に反映させながら,定期借地により事業者に全面的に貸し付け,長期にわたる収入を確保しております。今後も,長期的な観点から手法やタイミングを見据えまして,売却のみならず,民間事業者への定期借地なども含めた有効活用による財源確保に努めてまいる所存でございます。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(藤原正行) 経済効果を念頭に置いた市内各エリアにおけるまちづくりについてでございます。本市では,地域固有の歴史や文化に育まれた豊かな魅力を創造的に活用するなど,岡崎や京都駅周辺はもとより,西陣,洛西・向島両ニュータウンなど市内の様々なエリアにおきまして,個性と活力あふれるまちづくりを推進しておるところでございます。天方議員御指摘のまちづくりの経済効果につきましては,周辺への波及効果も含めて総合的に評価すべきものであることに加えまして,限られたエリアごとでの把握が困難でありますことから,各エリアの特性に応じまして,より分かりやすく把握しやすい来訪者数や満足度などを成果指標として活用しておるところでございます。例えば,岡崎エリアでは,来訪者数を成果指標としておりまして,活性化ビジョン策定後,この6年間で131万人,26パーセント増加しており,京都駅西部エリアでは,再び訪れたいと思う人の割合が9割を超えるなど,まちづくりの成果を数値で把握しております。今後とも,どのような成果指標が適しているかを検証しながら,各エリアの魅力や価値を高め,市民生活の豊かさにつながるまちづくりをしっかりと進めてまいる所存でございます。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木章一郎) 電動小型低速車の活用と歩くまち・京都総合交通戦略の進化についてでございます。本市では,平成29年度に,京都未来交通イノベーション研究機構の下に検討会議を設置し,社会実験も交えつつ,急速に進展する自動運転技術を京都の公共交通にどういかすのかという視点から研究を精力的に進めております。電動小型低速車は,議員御指摘のとおり,市民の日常生活や観光における移動にも活用の可能性があり,環境にも優しい乗り物ですが,現時点では有人運転が想定され,継続的な運行を考えた際には,担い手の確保,事業採算面,運行主体等の課題に対する検討が必要と考えております。また,総合交通戦略につきましては,策定から10年目を迎え,移動のための自動車の利用割合は,平成12年から約2割減少するとともに,バス・鉄道の利用割合は約3割増加する等,着実に取組が進んでおります。今後,こうした公共交通優先の取組に自動運転などの日進月歩の技術革新をどのように取り入れ,また,市民の使いやすさを向上させるか,しっかりと検討してまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 次に,江村理紗議員に発言を許します。江村議員。 〔江村理紗議員登壇(拍手)〕 ◆(江村理紗議員) 右京区選出の江村理紗です。地域政党京都党市会議員団を代表しまして,村山議員と共に平成31年度京都市予算案について質疑をさせていただきます。 まず初めに,私たち京都党は,京都のまちが30年先,50年先に,現在の子供や孫の世代が快適な環境の中で,魅力的な働く場所があり,子育てが安心で,幸せに年を重ねていくことのできるまちの姿を思い描いております。そこにはたくさんの子供たちが安全に育ち,公共交通が今よりもっと充実し,京都らしい文化的な町並みが残り,一方では都会的なにぎわいと活気のある経済活動があり,そして充実した行政サービスが提供されている,そんな将来を見据えています。しかしながら現状では,我が国は既に人口減少時代に入り,京都市においても今後30年,50年にわたってこのまちを支える世代の割合が減少し始めています。京都の奥深い魅力ゆえに,やや年齢層の高い方から支持を得やすいまちではありますが,子育て世代が安心して快適に過ごせる条件を整えなければ,このまちの未来はないと危惧しております。 そこで,まず子育て世代が集まるまちに向けての御提案です。京都党はこれまでから財政面・人事面での厳しい改革を求めてきましたが,その中でも子育てについては例外的に更に積極的な政策を求めます。かねてより京都党では,人口減少の中でも特に京都市において若者や子育て世代が流出していることへの問題意識を持っております。京都の大学に通う学生さんに是非京都で就職してもらうことも重要な課題です。そして,同僚の森かれん議員と共に,女性議員による座談会も市内のカフェで何度も開催し,若い女性の方の市政への御意見を積極的に伺う活動にも力を注いできました。その中で,子育て世代の方々からの御意見として特に多かったのが,乳幼児の遊ぶ場所の不足でした。乳幼児は特に転倒・転落の危険もあるため,一般的な公園で遊ばせるより室内での遊び場を求める声が多いのですが,市内ではこどもみらい館が中京区にあるのと,あとは伏見区や南区などに民間施設としてあるのみで,滋賀や大阪,亀岡など市外に遊びに連れて行かれているケースが少なくないようです。こどもみらい館が開設されて20年,この施設に対する子育て世代の認知度は非常に高く,市内の至る所で,もっと生活圏内にこどもみらい館のような遊び場があるといいのに,こどもみらい館の周辺だけうらやましいとのお声もよく聞かれます。民間施設の遊び場自体も少ないのですが,やはりこういった遊び場はいつでも気軽に連れて行けることに価値があり,そのために無料で遊べる施設を用意することが強く望まれます。 また,こども元気ランドで実施されているように,子育て相談などにも対応することで,子育ての孤立化解消や不安軽減にもつながります。そういった意味で,行政が実施する意味は非常に大きいと考えます。子供が遊べる場というのは,子育て環境の魅力度を図るうえで,大きなバロメーターとして捉えられており,今後京都市でせめて各行政区・支所に1箇所の乳幼児の室内遊び場を増設し,子育て環境を充実させてはいかがでしょうか。是非,こういったことこそ京都の投資と考えていただき,前向きな御答弁を求めたいと思います。 さて,こうした京都の未来のために今必要な施策を行いますと,いつも財政事情という壁が立ちはだかります。そこで次にその本市財政の在り方について提案させていただきます。 〔湯浅副議長退席,寺田議長着席〕 ◆(江村理紗議員) (続)平成31年度予算は,平成30年度の相次ぐ自然災害の復旧対策が求められる中で,被災木の伐採や撤去,さらには,かねてより求めてまいりました災害時の福祉避難において,今回単身の重度障害者を対象とした個別避難計画のモデル事業を計画されるなど,細かな部分にも予算を付けられており,大変望ましいものです。また,増加する救急需要に対応すべく,救急車を呼ぶ前に医師へ相談ができる#7119の導入や,市民生活と観光との調和を図るための交通対策についても期待を申し上げます。 昨今SDGsが注目される中,今回持続可能都市として京都市が政令指定都市1位となったことは大変名誉なことであり,喜ばしいことです。しかし,持続可能都市となるには,財政面での安心感も欠かせません。その中で,京都市の予算段階の財源不足は128億円。事業の見直しや基金の取崩しなどで収支不足の改善に努められたとはいえ大変な額です。市バス事業においても,昨年12月時点で10年間で100億円の累積赤字となる見通しが新聞紙上でも取り上げられ,市民の方からは驚きと不安の声が上がっています。特別の財源対策に頼れる財政運営は,平成32年度,つまり再来年度には脱却が本当に成し遂げられるのかは大いに疑問です。 まず,行財政局はこの予算編成を見ていても,財政的危機感を持って縮減に奮闘なさっていることが感じられます。ただ残念なことに,そもそも各局の概算要求を積み上げた額が高すぎて,これでは対応しようがありません。これを見る限り,要求を上げる各局が,財政非常事態宣言下の自治体であるという自覚に欠けると言わざるを得ません。本当に借金してでも今やるべきなのか,子供たちに将来ばく大な負担を押し付けてでも今やるべきなのかを,前例踏襲の流れの中でいまいち精査し切れずに,やりたい事業を上げてきておられるようにしか,残念ながら見えないのです。いま一度,全庁的に行財政局が共有している危機意識を広めてもらうような取組をせねばなりません。例えば,筆頭局の環境政策局を例に挙げるならば,ごみ収集業務は民間に委託するかどうかは別として,京都市が絶対にやらなければいけないサービスであり,また,それに合わせたリサイクル推進やごみの分別の啓発,不法投棄対策などは,厳しい予算の中でも何とかやった方がよいものです。しかし,次世代自動車の普及促進事業や省エネ支援においては,やや優先度は下がり,むしろ国が主導して行うべきものであり,京都市としてはできればやった方がよい事業と言えます。このように,局内で大命題として成すべきことから,補完的なものまで,必ず濃淡があるはずで,そこをまず分類して絶対条件から遠い事業に関してはより一層の精査をしていくべきです。 このように,概算要求を出す前に局ごとに京都市として取り組む必要性や優先度に応じた厳密な精査をし,その努力が議会にも見える形で予算提示を行っていただくことを強く求めます。いかがでしょうか,お答えください。 だからこそ,これまでのような積上げ要求型の予算編成を変えて分配式の予算方式を導入することも必要です。入るを量りて出ずるを制する。収入の額を計算し,それによって支出を計算するという発想の転換が求められます。現在の各局から予算要求を上げる積上げ式では,次年度の予算確保のために各事業で予算を使い切る風土からは体質的に抜け出せません。そのため,必然的に毎年予算が膨張してしまいます。将来への投資はいつの時代も必要とはいえ,それは収入に見合う範囲でやり繰りをしながら成すべきなのです。全国的にも,政令市の財政状況は厳しいものですが,その中でも特に将来負担比率が高く,厳しい財政状況である京都市であるからこそ,大きな決断による予算方式の転換を求めたいと思います。市長の御所見をお聞かせください。 また,補助金の使い方も新たな手法に切り替えていくべきです。例えば福祉系に掛ける補助金は,業務に対して補助金が交付され,成果が出たかどうかはほとんど問われていません。京都市は,他都市以上に福祉予算の割合が高く充実している一方,財政をひっ迫させている一因でもあります。だからこそ,より生きたお金の使い方を追求すべきで,この補助金においても,目的が達成されたか否かによって支払が変動する成果報酬型の仕組みを取り入れるべきです。例えば,八王子市では市民の健康寿命の延伸と,ひいては医療費の適正化も期待し,大腸がん検診の受診勧奨を社会的インパクト投資,すなわちSIB方式によって実施されています。これは,行政サービスをNPOや社会的事業者に委託し,民間の資金提供者から調達した資金を基に事業を行い,あらかじめ設定した成果目標を達成した場合にのみ,行政から資金提供者に報酬が支払われる仕組みです。例えば来年度取り組まれる認知症予防といった,予防的な取組によってコスト削減効果の変動が想定されるものなどにもSIBは効果的とされています。本市でもこうした新しい取組を進めることで効果が期待できると思います。市長のお考えをお聞かせください。 さて,門川市長になられてから,職員削減を行われていることは度々うたわれ,今回の収支不足の調整にも人件費の削減が行われた御努力は大変なものだったと思います。ただ,もう既に本市財政は人件費削減において人員削減だけで対応していくには追い付かない状況にまで達しております。前々から御提案しております給与制度の改革にも着手すべきです。これまでに実施されてきたような,一律で給与を下げるといった方法ではなく,給与表そのものの見直しを求めます。すなわち管理職と非管理職にはそもそも給料上限にもっと差を設けるべきで,民間企業であれば平社員と言える主任級の最高月額の職員の平均年収が780万円に達するのは,正に民間感覚からかい離しています。そのほか,民間事業者より給与が低いとして数年連続で公務員給与が上がることも到底市民の皆さんの肌感覚には合わないものです。これは現行の人事委員会勧告制度では大規模事業所のみをその比較の対象としており,京都市の経済を支えている数多くの地域企業との比較を行っていないことによるものです。そこで,京都市職員の非管理職である課長補佐級までの職員の最高月額を見直すこと,及び人事評価の給与への更なる反映,そして,人事委員会勧告においては京都市の地域企業との比較を主眼に置き,実施していただきたいと思います。 改めてここで申し上げますが,私たち京都市は財政非常事態宣言下の自治体です。これらの人事・給与制度改革のなお一層のお取組を是非期待しておりますが,御所見をお聞かせください。 行政サービスは,必ずしも採算性を図れるものばかりではありません。だからといって,トータルで見た際には自治体として当然経営意識は不可欠です。京都市の健全な自治体経営を求め,私の代表質疑といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 江村理紗議員の御質問にお答えいたします。 予算編成についてでございます。そもそも本市は,議員御質問の積上げ要求型ではなく,分配式の予算編成を基本としており,そのことはあらゆる機会に説明しているところでございます。本市では,まず,各局からの予算要求に先立ち,次年度の収支見通しを立てたうえで,予算編成方針を定め公開しております。予算編成方針では,厳しい本市の財政状況をしっかりと示したうえで,安心安全なまちづくり,教育・子育て環境の日本一の京都,福祉の一層の充実,世界の文化首都・京都の実現など,次年度に取り組むべき重点課題を各局に明確に示すとともに,市会にも公表しております。この方針の下,現場のことを最もよく知る各局はあらかじめ配分された財源の範囲内で,主体的に事業の徹底した見直しを行ったうえで,重点施策を推進する予算案を作成しております。したがって各局は,決して自分たちがやりたい事業を要求しているものではございません。一方,局に配分する財源とは別に,今,正に必要とされている施策に果敢に投資するため,全庁横断的な政策判断により,事業採択を決定する方式も併せて取り入れております。各局のマネジメント力の発揮と,全市横断的な議論があったからこそ,昨年の相次ぐ災害への126億円もの緊急の財政出動,さらに防災・減災対策への500億円の予算措置,保育所待機児童ゼロの継承へ向けての定員拡大,また本市独自財源49億円による,全国平均の1.4倍もの民間保育士給料水準等の実現,児童虐待対策のための14名の増員といった思い切った施策が可能となったものでございます。特別の財源対策に頼らざるを得ない厳しい状況は続いておりますが,御指摘の将来負担についても,市長就任以降,国が返済に責任を負う臨時財政対策債を除く,全会計の実質市債残高を3,212億円,16パーセント縮減してきております。更なる行財政改革を徹底し,また成長戦略による将来の担税力を強化し,未来に責任を持った市政運営にまい進してまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 長谷川監察監。 〔長谷川監察監登壇〕 ◎監察監(長谷川一樹) 職員の人事・給与制度についてでございます。職員の給与につきましては,地方公務員法において,職務・職責に応じたものでなければならず,国や他都市,市内民間事業所の給与等との均衡も考慮して定めなければならないとされております。そのため,第三者機関である人事委員会が,法令や国の基準に基づきまして,専門的な見地から調査した市内民間事業所の従業員の給与水準と,本市職員の給与水準を均衡させるために人事委員会勧告を実施しており,その内容は,最大限尊重することが求められています。本市では,これまでから,人事委員会勧告等を踏まえつつ,より責任のある職層に昇格した場合の給料の増額幅を大きくする一方で,年齢に伴う給料の上昇幅の抑制や,係員級の給料の最高額の引下げを行うなど,職務・職責に応じためり張りのある給与制度の構築に向けて改革を進めているところでございます。また,人事評価を活用し,評価結果が低い職員の昇給やボーナスを抑制しておりますが,給与への更なる反映につきましては,職員の育成,組織の活性化という人事評価制度の目的を踏まえながら,更に検討してまいります。将来にわたって京都市政を担う有為な職員を確保し,その能力を最大限発揮できるようにするためにも,常に適切な給与水準・給与制度となるよう努めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 岩崎財政担当局長。 〔岩崎財政担当局長登壇〕 ◎行財政局財政担当局長(岩崎清) SIB,ソーシャル・インパクト・ボンドについてでございます。この仕組みは,金融機関や投資家から調達する資金を基に,民間事業者が公共サービスを提供し,その事業成果を評価し,評価結果に応じて行政が対価を支払うというものであり,民間のノウハウを活用した効率的・効果的な公共サービスの提供や行政コストの削減を目的とするものとされております。近年,へルスケアの分野を中心に,一部の自治体で実験的に導入する事例が出てきております。例えば神戸市では保健指導プログラムの実施により,人工透析への移行を予防することで,将来的な医療費負担を大幅に軽減することを目的とした事業が始められておりますが,現時点では事業の途上であり,最終的な事業効果の検証はまだ行われておりません。本市ではこれまでから,民間にできることは民間にを基本として,民間活力の導入に取り組んできておりますが,議員御提案の手法につきましては,他の自治体における先行事例の結果をしっかりと検証し,十分な事業効果や行政コスト削減効果を得ることができるのかどうか,しっかりと見極めていく必要があると考えております。 ○議長(寺田一博) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 子供の遊び場についてでございます。こどもみらい館は,平成11年に国公立と私立,さらには幼稚園,保育園等の垣根を超えた,全国に類のない共同機構として設置いたしました。こども元気ランドにおける遊びや子育て相談をはじめ,研究や研修,子育て情報の発信,ボランティア育成や子育てネットワークの構築などの機能を柱に,総合的な子育て支援の中核施設として,ここでの先進的な取組を進め,全市に展開していくという大きな役割を果たしております。こうした取組を進める中で,乳幼児の子育て家庭の孤立を防ぎ,遊びや交流,相談などを行う子育て支援についても,市内131箇所の児童館における乳幼児クラブ事業等の実施や,乳幼児が親子で自由に利用できるつどいの広場の設置など,市内全域で展開しており,年間60万人の方に,身近な地域において御利用いただいております。現在,こうした地域子育て支援拠点は,政令市最多の181箇所あり,設置率は全国平均の2.4倍となっております。さらに,保育園,幼稚園における地域の子供たちへの園庭開放事業や,区役所の庁舎などを活用した子育て支援の取組,民生児童委員や社会福祉協議会による子育てサロンなど,地域や関係団体による取組も大きな広がりを見せております。したがって,行政区ごとの新たなハード整備による施設の設置よりも,既存のあらゆる施設を活用し,連携を図り,地域ぐるみで子供を育む機運の醸成こそが極めて重要と考えております。今後とも,身近な地域での子育て支援を,地域の皆様と共に展開し充実してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 次に,村山祥栄議員に発言を許します。村山議員。 〔村山祥栄議員登壇(拍手)〕 ◆(村山祥栄議員) 地域政党京都党の村山祥栄でございます。 先ほどの市長の答弁でございますが,分配型ができていたらこのような財政状況にならないわけでありまして,市民の代表としてしっかりと更なる改善を求めているわけでございまして,それはできていますからというような答弁でございましたら,これでは建設的な議論ができないわけであります。市民の声に真摯に耳を傾けていただきたいということを冒頭お願いして,質問に入りたいと思います。 さて,私は,京都市の交通政策について質問させていただきます。近年,京都市は観光客の増加と団体旅行から個人旅行への変化に伴い,交通渋滞とバスの混雑が大きな問題となっています。そもそも京都市交通網は,140万人台の市民と3,000万人台の観光客の時代にそれを想定して作られたものであります。観光客が今日のように公共交通機関を駆使して旅行するということも当然想定外のことと存じます。京都市は,近年の乗降客の動向を踏まえ一定の対応をいただいておりますが,まだまだ増える観光客を考えれば,京都市交通が限界を迎えるのは当然の結果であります。財政が厳しい中,この難局をどう乗り切るか,大変難しい問題です。私は,かねてからこの課題が将来的に発生するであろうと,数年前から世界中の交通政策の研究を重ねてまいりました。結論から申し上げます。今,京都市に必要なのは京都駅を起点にした大型輸送の環状線の建設であります。日本一乗降客数の多い205系統をベースに五条,河原町,出町柳,北大路,北野白梅町,円町,西大路,西院を結びます。現行の駅とは連絡通路で結び,結節力を高めます。こうすれば,市内にある鉄軌道は全ての路線と連動することができ,市内の輸送環境を大幅に改善いたします。路面,高架も検討いたしましたが,道路面積が非常に少ないこの京都市では現行の道路に軌道を敷くのは大変困難であり,高架化による景観上の課題等を考慮すると,京都市の場合は地下空間を使うべきだというのが結論です。それができるならやっている,という風な声が聞こえてまいりますけれども,そう言われるほどに難しいのがコス卜,すなわち建設費の問題です。地下鉄建設は,東西線が建設された時代に比べると大幅にコス卜ダウンが進んでおりますが,とはいえ,地下鉄建設にはばく大な予算が求められます。当然,京都党は,このようなばく大なコス卜を投じて地下鉄を建設せよというような提案するものではありません。そこで京都党は,市民の御負担を極限まで抑えた地下の自動運転シャ卜ルの提案をいたします。 まず,地下鉄の建設予算の中で多くを占める駅舎の建設についてでありますが,極限まで簡素化させた建設を目指します。駅は,原則無人,改札なしでICカード受付機のみ,卜イレもなし,配管むき出し,打ちっ放しのままで,タイル張りなどの装飾は原則行わず,少し殺風景とも言える建造物にとどめます。イメージは地下にあるバス停です。改札については,定期的な検札と厳しいペナルティで対処する欧米型を導入します。なぜなら,無賃乗車を防ぐための改札口を設置しても,そのコス卜の方が無賃乗車によって損なわれる利益を上回るからであります。また,券売機も設置せず,全て乗車はICカードと電子決済のみにして低コス卜化を進めます。建設時に掘削機を降ろす立坑を掘りますが,それはそのまま駅に利用し,駅舎の建設を最小限にとどめます。これで通常約50億円程度掛かると言われている駅舎の建設が10億円から15億円に圧縮することが可能です。 次に,軌道に当たる部分ですが,シールド工法の技術は年々進化を遂げており,東西線時代に比べますと,近年の地下鉄は半分ぐらいまでコストが下がってきております。これを更にダウンサイジングを進め,5メートル口径というかなり小さな卜ンネルをシールド工法で掘り進めます。実は,6メートル口径の卜ンネルは既に上下水道局が水道管として導入しております。5メートル口径であれば,水道管の敷設コス卜並みで卜ンネルを掘り進めることができます。また,そこには電気軌道を敷設せず,完全自動運転の電気シャ卜ルを走らせます。もちろん,専用軌道なので,バスのような遅延もありません。バスの最大経費である運転士が不要なので,利益確保も容易であります。卜ラブル発生時の対応など課題もありますが,いずれにせよ,経費が極限まで圧縮されるので,経常損益は十分に黒字を確保できるはずであります。そして,これのいいところは,何よりも返済計画が立てやすいということであります。立てやすいということは事業化させやすいということであります。さらに,駅舎の建設については,市長の得意のネーミングライツを導入し,駅名,駅舎ごとネーミングライツの対象にし,建設費を捻出します。国の地下鉄補助が認められれば,3分の1は国負担となり,費用負担は更に軽減されます。また,民間企業にも資本参入を促し,事業会社として出発することができれば,更なる市の負担を軽減することができます。私どもの試算では返済年数や金利にもよりますが,返済原資は宿泊税の税収を充てることで市民負担ゼロで建設できる可能性もあると考えています。 最後に,拠点についてでありますが,この輸送手段の根本的な考え方は,市内のどこからでも,どの路線からでも京都駅にアクセスできるということです。したがって拠点駅は,京都駅でなければなりません。しかし,残念ながら,京都駅の地下部分に環状線の拠点を建設するのは大変困難であります。幸い,少し離れた崇仁エリアには広大な市有地があり,工事ヤードや駅舎の建設も十分にできる場所があります。崇仁エリアまでなら,動く歩道で接続をさせ,そこに新京都駅を建設します。これこそ駅前特性を最大限にいかした土地活用であり,新交通も最も有効に機能するのではないでしょうか。是非,積極的に御検討をお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。(発言する者あり)西京の話も後でいたしますので。 次に,新環状線構想の実現には数年の日時を要しますが,観光客の増加は待ったなしだという問題に触れたいと思います。当面の増加する観光客への対策はバスの生活路線と観光路線への分離です。現在,その一環として洛バスが走っておりますが,洛バスの問題は,観光地を結ぶこと以外に,観光客を観光路線へ導くという視点が欠けていることでございます。ここは宿泊税を原資に思い切って観光路線は100円にし,観光客を観光路線に誘導する,または,観光客対象に観光路線と地下鉄の周遊チケッ卜を廉価で発売することで動線を政策的に作っていく必要があります。もちろん,このバスは京都市が提唱するとおり,大型荷物棚完備,そして外国語案内付きであります。混雑を覚悟することができれば,もちろん市民も100円で御乗車いただけることも付記しておきたいと思います。こうして,市民の生活路線への観光客の流入を抑え,市民の足を守るべきと考えますが,いかがでしょうか。 次に,市立芸大と西京についてです。我々は,芸大そのものを非難するものでも,軽視するものでもなく,ただ京都市と共に今後の発展を期待するものであります。 さて,現在,京都市立芸大が位置する洛西ニュータウンは,京都市が地下鉄延伸を前提として開発した初めての大規模団地です。そこへ故梅原猛先生の驚異的な情熱で,芸大のニュータウン移転が実現し,ニュータウンのシンボルとなりました。洛西ニュータウンの最盛期の人口は3万6,000人でしたが,現在は2万2,000人台に減少し,ニュータウン内の小学校の児童数は軒並みピーク時の8割減と,衰退傾向は顕著で歯止めが掛かっておりません。そんなニュータウンに対して京都市が行ったことは,地下鉄延伸断念の決定,そして今回は芸大の移転です。京都市の方針はニュータウンをゴース卜タウン化することなのでしょうか。少なくとも住民の皆さんにはそのようにしか見えないのではないでしょうか。洛西ニュータウンについての見解をまずお伺いします。まさか見捨てるとはお答えにならないと思いますので,そのうえで一つ御提案をいたします。 ニュータウンの活性化については,もはや小手先のにぎわいづくりで解決できるという状況ではありません。このニュータウンの課題は,地下鉄延伸断念から来る交通アクセスの問題です。しかし,今更,地下鉄延伸ができないこともよく分かっております。そこで,新駅に沸くJR桂川駅,阪急洛西口と洛西ニュータウンをつなぐBRTの導入を提案いたします。このルー卜については,京都のまちの活力を高める公共交通検討会でもケーススタディとして検討されておりますように,大変期待のできる路線であります。BRT,バス・ラピッド・卜ランジッ卜は,バス高速輸送システムと言われておりますけれども,これは駅を造り,道路上に専用軌道を確保し,そこに大型バスを走らせます。専用軌道を確保することで,路面電車よりはるかに低コス卜で,路面電車並みの定時走行を実現することができます。BRTの大きなポイン卜は,駅を造るということであります。新駅の設置は,その周辺の不動産価格を引き上げ,民間資本が流入する大きなきっかけになるものであります。駅という装置の果たす役割は,洛西口駅や桂川駅を御覧いただければよく分かると思います。そして駅が出来れば,民間資本が新たに流入し,民間活力をいかしたまちの再生が実現します。現在の洛西ニュータウンを行政が資本を投下して再生させようにもばく大なコス卜だけが浪費され,再生のめどを立てるのは困難であります。重要なことは,いかに民間活力でまちの再生を成し遂げるかです。こうした考え方こそ,持続可能な都市づくり,つまりレジリエン卜・シティの目指すべき都市経営ではないでしょうか。また,BRT建設・運営についても京都市が主体となって行うのもいいですが,民間との合同出資で事業会社を作るか,または公募で民間に事業化してもらうことも視野に入れ検討されることを御提案いたします。洛西ニュータウンの住人にとっては,正に待ったなしの課題です。まずは調査費を計上し検討いただきたいと考えますが,いかがでしょうか。 最後に,市バスの管理の受委託についてです。先日から委託先の京阪バスの撤退表明以来,交通局は窮地に立たされております。運転士不足に伴う撤退であることが主な理由に挙げられておりますが,実際は,官民格差が小さくなり,管理の受委託制度そのものが行き詰まりを見せているというのが正直なところではないでしょうか。今後も民間がペイできるだけの委託費を支払わない限り,撤退は更に拡大する可能性は否めません。この状況下で,安易に撤退分を直営に戻すことが,本当に正しい選択なのでしょうか。場合によっては,直営並みのコス卜を拠出しても,また一時的に民間が大変お困りになっているであろう採用のための受委託引受準備金といったようなコストを民間事業者に支払ってでも,しばらくの間は受委託を進めるという選択肢もあったのではないかと考えます。 また,これまで私どもの左京の岩倉なんかもそうでありますけれども,周辺部を民間に路線移譲してきたように,路線そのものを民間に譲渡するという選択肢もあるのではないでしょうか。民間移行に伴う減便のリスクもないわけではありませんが,しっかりとした黒字路線とのセッ卜であれば十分検討の余地はあるという風に思われますし,部分的に補助金を出してでも直営で維持するよりコス卜は掛からない可能性もあります。こういったコス卜分析をせずに,ひとまず直営という選択には疑問を感じざるを得ません。 既に,全国的に公共交通は,民間への移行をどんどんと進めております。近畿圏で市営交通が残っておりますのは,京都市と神戸市と高槻市ぐらいのものでございまして,ほとんど民間バスが市民の足を支えているのが現状であります。大阪市も御存じのとおり民間に舵を切りました。政令指定都市の大半も市営バスは撤退しているというのが現状であります。こうした時流も考慮し,今後の公共交通をどう考えていくべきなのでしょうか。今後の公営交通の在り方をどう考えておられるのか,またどういった検討のうえに直営方式の拡大という選択をなされたのか,見解を求めます。 以上,四つの視点で,京都市交通について御答弁をお願いしたいという風に思います。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 村山祥栄議員の御質問にお答えいたします。 洛西ニュータウンについてでございます。商業施設や公園,学校等が整備された洛西ニュータウンは,例えば300種類,14万本の街路樹等が四季折々の美しさを織りなし,景観も美しく,生物多様性のまちとして全国的にも高く評価されております。JR桂川駅の開業や,ニュータウンと阪急洛西口駅,桂駅との間に1日約400本のバスがきめ細かく運行し,阪急洛西口駅との間は約7分で結ばれ,加えまして,第二外環状道路大原野インターチェンジの整備など,交通アクセスの利便性も画期的に向上しております。また,ニュータウンに隣接する市立芸大の移転を見据えて策定された西京区・洛西地域の新たな活性化ビジョン及び平成29年3月に策定しました洛西ニュータウンアクションプログラムに基づき,現在,公園の再整備やサブセンターへの商業施設誘致を進めており,加えまして,小中一貫教育校の創設をはじめとする教育環境の更なる向上,若年世代が暮らしやすい住宅の流通や環境の確保,阪急洛西口駅を基点とした観光プログラムの開発,さらに地域発展の起爆剤ともなる芸術大学跡地活用等,将来にわたって,洛西ニュータウンが,住む人,訪れる人,さらには働く人にとって,より魅力的な地域となるように,今後とも,幅広く政策を融合させ,地域と行政が一丸となってまちづくりを進めてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木章一郎) 地下の自動運転シャトルについてでございます。本市では,歩くまち・京都,公共交通優先の94の取組を総合的に推進してきておりますが,人の移動に何を使うか,つまり自動車の利用割合は平成12年から約2割減少するとともに,バス・鉄道の利用割合は約3割増加するなど,かつての過度な車依存型社会からの転換が進み,歩くまち・京都,公共交通優先の取組は着実に進展しております。また,交通システムを巡る技術は,ITや自動運転など大きな進展を見せている中,本市は,アメリカのベンチャー企業,ウェイファーラー社のシステムを念頭に,国土交通省とも連携を深め,自動運転技術を用いた新たな都市交通システムに関する調査に既に着手しており,既存の交通システムとの比較や関連する法体系への適合性等に係る検討を全国に先駆けて行っているところです。 なお,議員御指摘の自動運転シャトルについては,全ての路線を地下に設置する場合,埋蔵文化財や地下水への対応,ガスや上下水道などの地下インフラの移設などに大きなコストと膨大な時間を要することが容易に想定されます。さらに地下鉄東西線の整備費が100メートルに付き約30億円に上った経験なども踏まえますと,御指摘の構造の違いはあったとしても,専門家による検証なしに評価申し上げることは難しいかと考えております。 続きまして,JR桂川駅,阪急洛西口駅等と洛西ニュータウンをつなぐ公共交通の在り方についてでございます。洛西地域についてはこれまでも,既存鉄道網へのアクセス向上が重要であるとの観点から,同地域を運行する6社の事業者と緊密に連携し,利便性の向上に積極果敢に取り組んでまいりました。その結果,先ほど市長からの答弁にもありましたように,洛西ニュータウンから阪急桂駅,洛西口駅,JR桂川駅の間で,1日当たり400本のバスが運行され,洛西口駅とは最短7分で結ばれるとともに,ニュータウン内におきましては,民間バスを含めた約20系統のバス路線がきめ細やかに運行されております。また,昨年9月に補正予算を承認いただき,現在,自動運転も含めました未来の交通システムと既存交通システムとの比較や法体系への適合性等に係る調査に着手をしております。このようなシステムに対しても,大きな期待をいただいているところであります。 御提案のBRTでございますが,バス車両専用レーンなどにより通行させるものであり,道路幅が狭い中では,現在のバス路線網のようなきめ細やかな運行は困難であることに加えまして,専用レーンを設けるに際しては,費用対効果や土地の使用効率などの面で他の新たな交通システムとの比較検討が必要と考えてございます。以上です。 ○議長(寺田一博) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) 市バスの観光路線についてでございます。一部路線で生じている混雑対策として,これまでから通勤や通学などの日常的な御利用と観光利用をできるだけ分離する取組を進めております。しかしながら,議員御提案の宿泊税を原資として観光路線の運賃を100円とする方法については,仮に約6万人と推定される観光目的のお客様の全てが観光路線を御利用になった場合の御利用者数は,現在の約3倍,差額運賃の補填額は約28億円となります。加えて,市民の皆様の御利用も安価な観光路線ヘシフトすることが予想され,補填額が一層膨張するとともに,特定の路線にお客様が集中することで,輸送能力を超える車内混雑が見込まれます。また,観光路線と地下鉄で利用可能な廉価な周遊チケットを導入した場合についても同様に,御利用が集中する特定の路線での著しい車内混雑が懸念されます。実質的な運賃の大幅値下げとなる議員の御提案は,市バスを御利用いただくお客様の利便性や市バスの運賃体系に影響を及ぼすおそれがあることから,実施は困難であると考えております。交通局としては,引き続き,市民生活と観光の調和を目指し,混雑対策に取り組んでまいります。 次に,市バスの管理の受委託についてでございます。管理の受委託は,路線の民間移譲を行うことなく市民の足である市バス全体のネットワークを維持するための方策として,平成12年に公営で初めて導入したものであります。昨年,委託期間の満了に伴う事業者公募を行った際,九条営業所の一部については応募がなかったことを受け,現行受託者を中心に京都市内にバス路線を有する民間バス事業者に応募の可否を確認いたしましたが,いずれも受託金額の問題ではなく,人員確保が困難なことを理由に,応募の意思を示す事業者はありませんでした。バス運転士,整備士の担い手不足が全国的な課題となる中,応募条件の見直しや委託規模の分割など,委託の継続を追求する一方,直営化に伴うコスト試算も行い,市バス路線の維持を最優先に検討した結果,九条営業所の一部については,規模を縮小したうえで1年間に限り現行受託者に委託し,平成32年度から完全直営化することとしたものであります。梅津営業所の委託系統の一部直営化と併せ,今後5年間の運営体制は確保しており,市バスネットワークをしっかりと維持してまいります。今後の在り方につきましては,5年後の受託者更新に向けて社会情勢の変化を的確に捉え,適切に判断してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 暫時休憩いたします。 〔午後2時51分休憩〕 〔午後3時14分再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 こうち大輔議員に発言を許します。こうち議員。 〔こうち大輔議員登壇(拍手)〕 ◆(こうち大輔議員) 右京区より選出いただいております,日本維新の会市会議員団のこうち大輔です。この後の宇佐美けんいち議員と共に会派を代表し質疑を行います。そして,右京区の市民の皆様を代表いたしまして,今任期最後となる私の質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 まずは,財政改善対策について,質問いたします。京都市の財政問題対策について,これまで幾度となく市長に対して質疑,意見をさせていただきました。具体的に申しますと,人件費の更なる削減や民間委託化の更なる推進,全事業についてのゼロからの見直し,また,新たな財源についての恒常的な議論の場の設置などです。人件費の削減や事業の見直しは進んでいる部分もありますが,しかしながら,今回の予算編成においても当初350億円の収支不足が見込まれ,さらに国民健康保険事業への一般会計からの繰出しにより,最終的な収支不足は369億円。そして最後には,やはり基金の取崩しなどの特別の財源対策により128億円を賄われて,何とか予算を組まれました。 来年度の予算において京都市の借金は全会計で1兆6,691億円になります。私の任期が始まった4年前から変わらず厳しい財政状況です。慢性的に不足する財源をいかにするのか。市長が言われる持続可能な財政の確立とは何なのか,何度も質疑をさせていただきましたが,私にはいまだによく分かりません。最後に,改めて,もう一度分かりやすくお答えください。 また,昨年の9月市会市長総括質疑において,そして昨日の代表質疑の御答弁にもありましたが,新たな財源確保について,庁内の横断的な組織によってプロジェクトを組むと御答弁され,プロジェクトチームが設置されましたが,そのプロジェクトの目的において,来年度についてはどのように実施されるのか,具体的にお答えください。改めてお聞きします。 財務省の諮問機関である財政制度等審議会では,今般,平成の次の新しい時代に向けた財政健全化のアイデアについて,インターネットで募集を始めました。財政問題について,国民の理解を高めるのが狙いで,集まった意見は2020年度以降の予算編成などにいかされるとのことです。財政審が国民の意見を公募するのは極めて異例でもあるとのことです。背景には,財政審が昨年11月に取りまとめた2019年度予算編成に関する提言の中で,平成という時代は,厳しい財政状況を後世に押し付けてしまう格好となっていると総括したことや,併せて国民の関心が低いことへの危機感があるとの新聞報道もありました。全国の自治体においても同様の状況と推測されますが,京都市においても,新しい時代を迎えるに当たり,財政健全化のアイデア募集について実施してはいかがでしょうか。京都市財政について市民の皆様の御意見を聴くいい機会にもなりますし,市民しんぶんなどによって周知はしておられますが,単に広報だけでなく,現在の京都市の財政状況をより知っていただく機会にもなります。京都市の借金額は,市民の皆さんのほとんどが知られていないのが私の実感です。知っていただくことによって,今後の施策の理解を得ることができたり,また,次期基本計画策定に向けた取組にもいかすことも考えられると思います。市長の御所見をお聞かせください。 ちなみに,私の意見としては,市長の4年に一度の約3,400万円に上る退職金カットによって職員の更なる総人件費削減に踏み切ることです。今現在も市長は月額給与のカットを実行しておられますが,退職金まで実行すれば,職員の方々に協力を求める資格ができると私は思います。そして現在の特別の財源対策分をせめて補う。それでこそ,持続可能な財政の確立への第一歩だと考えます。身を切る改革は短絡的だと言われようとも,はやり廃りではなく当たり前のこととして実行するべきことだと私は考えます。 また,もう一つの意見として,現在も小学校などで行われていますが,租税・財政教育の充実を提案いたします。少子高齢化によって将来世代一人当たりの負荷が今後ますます重くなる実情を踏まえ,子供のうちから関心と問題意識をより積極的に持ってもらうためです。市長の言われる自分ごとにも通じるのではないでしょうか。いかがでしょうか。 次に,新たなまちの魅力創出について,質問いたします。まちの活性化には,そこに住む人たちのわくわく感の創出が欠かせないと私は考えます。京都市は,訪れる観光客にとって歴史や文化を感じ取っていただき,学び,楽しんでいただけるまちであります。さらに,今まで以上にそこに住む京都市民にとって新たなまちの魅力創出があれば,より活力のあるまちであり続けることができます。そういった観点から,新たな公共空間の魅力創出を提案いたします。 一つ目は,歩行者天国の実施による道路空間の新たな活用です。京都の夏の風物詩でもある祇園祭では,まち一帯が,また市内各観光地においても,期間限定などで歩行者天国が実施されていますが,例えば休日の四条通や三条通,その他の地域においても実施し,非日常空間を作ることによって,また道路空間を活用してのイベントやお店などによって新たなにぎわいを創出することで,地域の活性化にもつなげます。さらには,車がない空間を体験してもらうことで,車を使わない社会についての啓発にもつなげ,市長が掲げ10年目を迎えた,歩くまち・京都の集大成的プロジェクトにもなるかと思いますが,いかがでしょうか。 二つ目は,西京極総合運動公園の新たなにぎわいづくりです。大規模な都市公園の中で,東の岡崎公園,中央の梅小路公園はこれまで新たなにぎわいが作られてきました。そして,それは市民の皆様にも定着しつつあります。特に梅小路公園においては,3月に新駅の開設が控え,さらに新たなにぎわい施設が公募され現在進行しています。しかし,京都市西部地域にはまだ都市公園を軸としたにぎわいが足りないと実感しています。運動公園というくくりではありますが,阪急の駅にも隣接している西京極総合運動公園を京都市西部地域において更なるにぎわいと魅力のある都市公園にしていただきたいのです。個人的にはスポーツの拠点ということもあり,例えばeスポーツの拠点となる施設やイベント,またVRを活用した取組などがあれば面白いと思います。いずれにしても,西京極総合運動公園を拠点とすることで,京都市西部地域の新たな価値とにぎわいが生まれます。今般,大宮交通公園で実施される予定のパークPFIの導入などによる民間活力によるにぎわい創出と整備を望みますが,西京極総合運動公園の将来をどう考えておられますでしょうか。また,新たなまちの魅力創出という観点で,市長はどのようにお考えか,お聞かせください。 次に,現在の施策見直しによる交通政策について質問いたします。京都市にとって市内道路の混雑緩和と公共交通のスムーズな流通対策は喫緊の課題です。しかしながら,新たな施策の導入にはそれぞれハードルがあるように感じます。であるならば,まずは現在導入されている施策を総点検し,効果の向上を図るなど対策につながらないかと考えます。具体的なものとして,幾つか挙げてみたいと思います。 一つ,現在毎月16日に実施されていますノーマイカーデーをこれまで以上に周知・活用し,実施することによっての新たな特典を設けるなど,実施日の拡大や効果の向上により,車の交通量を抑止することで渋滞などの対策にするのはどうか。もちろん,環境問題にも更に寄与できます。 二つ,現在のバス専用レーンの効果を再検証する。また,現在の啓発活動の見直しをはじめ優先レーンのカラー舗装化など効果向上につながる取組を行う。現状では,バス専用レーンの道路標示も消え掛かっているような箇所も見られますが,見直しが必要ではないか。 三つ,現在,西大路通や河原町通,また北大路通や九条通などで採用されているPTPS,公共交通優先システムの効果再検証を行い,より効果が出る活用はないのか。また,拡大はできるか。 これらのように,まずは現在の交通施策を再検証することで新たな対策につなげられないかと考えますが,いかがでしょうか。そして,これらの実施については,京都府警とのしっかりとした連携が必要です。府市協調による交通施策についてのお考えを併せてお聞かせください。 最後に,右京区の道路整備をはじめとする都市基盤の整備について要望いたします。右京区西部,四条通以北の道路整備については,特に南北につながる幹線道路が極端に少なく,狭小な道ばかりになっています。各地での渋滞や,大規模災害時などの際にはどうなってしまうのか。これは長年の右京区民の方々にとっての要望であります。昭和の初めから計画されてはいますが,現在,主に予算やその他の理由により計画が止まっている状況が長く続いています。この20年ほどの中で,平成13年と23年,約10年ごとに都市計画道路の見直しもされてきましたが,その度に計画は縮小されてきています。そして,そろそろまた10年が経過する時期に来ています。右京区民にとっては大きな願いではありますが,諦めムードも強いのは事実です。しかし,道路計画が残ることで,規制や制約だけが残ってしまっています。これでは周辺住民や市民の方に負担だけが残ってしまっている状況です。せめて,住民に分かるような現在の状況の説明や,右京区の都市基盤についての今後のビジョンを示していただけますように最後に要望いたします。質問は以上です。 私はこの4年間,できる限り議員になる前の目線で物事を見て,考えて,伝えられるように心掛けてまいりました。その姿勢というのは,これからも大事にしていきたい部分です。今後もそういった姿勢をより一層大切にし精進することを,日頃より御支援・御声援を頂いている皆様にお誓い申し上げまして,私の今任期最後の代表質疑といたします。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) こうち大輔議員の御質問にお答えいたします。 財政健全化についてでございます。防災・減災,福祉,教育,子育て支援,経済の活性化など,市民生活の維持・向上に欠かせない施策の財源を将来にわたって賄うことができる,それが私が度々御説明申し上げています持続可能な財政運営でございます。元来,京都市は,その都市の特性から税収基盤がぜい弱であり,かつ国の三位一体改革以降,国からの地方交付税等の大幅な削減により,一般財源収入がピーク時から250億円以上少ない状況が続いている京都市としては,国に対して,地方税財源の確保を強く求めつつ,行財政改革の断行と,将来の財源確保につながる成長戦略を一体的に進めてきております。来年度予算の市税収入は148億円増加するなど,この間の先行投資等による成長戦略は着実に実を結び,また御指摘の将来負担につきましても,市長就任以降,国が返済に責任を負う臨時財政対策債を除く,全会計の実質市債残高を3,212億円,16パーセント縮減しております。しかし,昨年の相次ぐ災害で126億円もの財源が緊急に必要となり,行財政改革を断行してもなお特別の財源対策を講じざるを得ない厳しい状況であります。 このため,更なる財源確保に向け,昨年12月に京都の未来を支える財源創出プロジェクトチームを設置し,具体策の検討を行うとともに,例えば,ふるさと納税やネーミングライツについての提案も,常に幅広く募集しております。本市の厳しい財政状況については,市民の代表である市会の場での御議論に加えまして,これまでから市民の皆様にも,市民しんぶんなどあらゆる機会に明確にお伝えしております。また,小学校から高校まで,社会科を中心に,租税の意義や役割,財政の仕組みと働き等について体系的に学習することを通じて,将来の納税者としての自覚の育成にも努めてきております。この間も,京都市の都市格の向上は各方面で高い評価を得ており,今後,市民の皆様の御理解を得て,都市の奥深い成長戦略を推進し,担税力の向上,持続可能な財政運営を目指してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 交通政策についてお答え申し上げます。京都市では,平成22年1月に策定いたしました歩くまち・京都総合交通戦略に基づきまして,公共交通の利便性向上,そして歩く魅力にあふれるまちづくりなどに取り組んでまいりました。その結果,移動のための自動車利用の割合は平成12年から約2割減少する一方で,バス・鉄道の利用の割合は約3割増加するなど,車に過度に依存するまちから,人と公共交通優先のまちへの転換が着実に進んだものと考えておるところでございます。効果検証については,例えば,四条通歩道拡幅事業では,まちに来られた方へのアンケート,あるいは歩行者数の推移などの検証を行いまして,歩きやすくなった等の御意見を頂くとともに,三つの学会賞を含む数々の賞を受賞するなど,高い評価を受けておるところでございます。 ノーマイカーデーでございます。取組の直接的な波及効果を測定するのは必ずしも容易でないものかと思いますが,市バス・地下鉄の通勤定期券利用者数が大きく増加していることなどに効果が反映されていると考えているところでございます。また,バス専用レーンのカラー舗装化の推進,バス等の公共交通を優先的に走行させる公共交通優先システムの拡大は,交通事業者からも走行環境改善に資すると聞いておるわけでございますけれども,予算上の制約等もございまして,直ちに拡大することは少し難しい状況かと考えております。交流交通の大幅な増加,そして自動運転や新技術開発の進展など,交通環境を巡る課題は大きく変化しております。本市といたしましても,交通局の経営ビジョン案において,AIなどの新たな技術動向の注視・研究を挙げるなど,時代の先を読みながら,そして交通事業者,あるいは府警等との連携を更に深めつつ,求められる交通政策の在り方を追求してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 吉田文化市民局長。 〔吉田文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(吉田良比呂) 西京極総合運動公園についてでございます。西京極総合運動公園は,府下唯一の第一種公認陸上競技場のほか,わかさスタジアム京都や京都アクアリーナなど六つの施設から成るスポーツの一大拠点であり,これまで,京都国体のほか,プロスポーツ,海外ランナーも多数参加する京都マラソンや全国女子駅伝などの全国規模の大会,毎年約7,000人という多くの市民に参加いただく市民スポーツフェスティバルなどで利用していただいております。その西京極総合運動公園を今後も末永く愛していただけるよう,現在,府市協調で進めている陸上競技場兼球技場の計画的改修をはじめ,府内随一の規模を誇る施設として,必要な整備・改修に精力的に取り組んでおります。既に,わかさスタジアム京都やハンナリーズアリーナに,企業の皆様の御協力を得てネーミングライツを導入しており,今回,陸上競技場兼球技場においても,通称を命名する権利の付与に関する議案を提出しているところであります。これまでの成果を踏まえ,本市のスポーツの聖地として,また,公園のにぎわい創出を含め,更なる魅力づくりに向け,指定管理者や競技団体,民間企業とも連携した幅広い手法について,引き続き,様々な角度から研究してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木章一郎) 道路空間を活用したにぎわいの創出についてでございます。歩くまち・京都総合交通戦略では,施策の大きな柱の一つとして,歩く魅力を最大限に味わえる歩行者優先のまちづくりを掲げており,歩行者が安全に買物や散策ができること,まちのにぎわいが創出されることは,歩くまち・京都の理念にかなうものと考えております。一方,歩行者天国は,土日,祝日の午後などに大通りで行うことが想定されますが,道路上の自動車交通は,個人の利用だけでなく,公共交通や物流を含む様々な機能を担っていること,京都のまちは四条通等の大通りでありましても地域住民の暮らしの場とのつながりが極めて深いことから,少なくとも現状では,他の道路への自動車のう回による交通渋滞の可能性も含め,住民の皆様の日常生活や経済活動などへの影響を十分に考慮して,慎重に判断すべきであります。歩行者天国につきましては,今後,歩くまちの取組や技術・システム開発の進展に伴う,将来的な更なる自動車の利用割合の低下や車両流入の減少の見込みをにらんだうえで検討すべきものと考えております。本市といたしましては,歩行者がまちの魅力を実感しつつ歩けるよう,まずは無電柱化や道路のバリアフリー化の推進などを通じて,安心安全で快適な歩行空間の創出に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 次に,宇佐美けんいち議員に発言を許します。宇佐美議員。 〔宇佐美けんいち議員登壇(拍手)〕 ◆(宇佐美けんいち議員) 日本維新の会市議団の左京区選出,宇佐美けんいちです。同僚のこうち大輔議員に引き続き,会派を代表して質問いたします。市長におかれては,真摯な御答弁をお願いいたします。 最初の質問は万博についてです。2025年大阪・関西万博の開催が決定しました。2020年は東京オリンピックが開催されますが,近年,東京一極集中が進んできた中で,今回の万博誘致の成功は,関西全体に大きな変革をもたらす好機であると認識しております。この万博,また大阪におけるIRの計画の進展に伴い,鉄道をはじめとする交通インフラは近年まれに見る民間投資の拡大が期待され,関空から京都駅までの鉄道路線の短縮・短時間化,また万博会場から私の地元左京区の出町柳駅までが鉄道で一直線に結ばれることも計画されているようです。京都市は,歴史,芸術,景観,食,ものづくりといった多様な文化が連綿と続く地であり,万博のテーマに関連する健康,ライフサイエンス分野の研究機関や企業が集積していることから,この万博に取り組むべき都市であると考えますし,今なお世界中でテロ,紛争,貧困,病気,差別に苦しむ人々に,京都が様々な困難に立ち向かい培ってきた歴史,文化の力,市民の知恵を世界の人々と共に分かち合い,さらに互いに交流を深めることで,人類の希望を示すチャンスだと考えます。 私は,まず京都への鉄道の始発点になる万博会場,またIRにおいて,例えば京都観光コンシェルジュなどを設置することにより,より多くの観光客により深く,よりスムーズに京都の隅々まで知っていただき訪れていただく取組をすべきではないかと考えます。また,今回の万博のサテライト事業に関し,厳しい歴史を超え,市立芸大移転を契機に新しい輝きを生み出そうとしている崇仁地域を含む京都駅東部エリア・東南部エリアにおいて,若者・芸術家の力と市民の力を融合し,万博開催地という新しい歴史の1ページを作ること,また,温暖化防止の京都議定書締結がなされた国立京都国際会館で,自然環境を中心とした世界の未来を語る場を作ることを提案してはどうかと考えます。万博は6箇月間開催されるMICEとも言えます。残念ながら,今回の予算説明資料ほかで,万博の文字が全く記載がないように思い気に掛かっていますが,万博に向けた市長の意気込みを含めお答えください。 次に,公共交通についてお尋ねします。少子高齢化で人口の減少が見込まれる一方,高齢者の方は免許証を返納し公共交通を活用される傾向がある中で,今回運転士不足,コストの増加に伴い交通局の予算は赤字となり,また民間バスなどではバスの路線の縮小・減便などもあり,市民の皆さんから公共交通の先行きに不安の声が上がっています。私は,今後も公共交通が市民の足としてしっかりと経営を続けていくことが大事であり,民間バスを含めた公共交通全体の経営の安定化を図るべきだと考え,その観点から三つの提案をいたします。 まず一つ目は,経営の一体化と広域化です。現在,市バスは市内中心部を主な路線としており,観光客を含め混雑するドル箱路線を多く持っています。一方で,民間バスはどちらかと言うと郊外の路線が多く,乗降客も通勤時間を除けば少ない傾向にあります。少子高齢化の中で今後このような住み分けで経営が安定的に進むのでしょうか。京都市では水道事業も会計や料金を原則一本化しましたが,公共交通も基本的に一本化や広域化を進めるべきと考えます。 二つ目は,経営の枠を広げることです。民間の交通事業者の駅前は,にぎやかであることが当たり前,ホテルやショッピングセンター,マンションなどが隣接していることに対して,地下鉄の駅は出入口があるだけです。これは公営企業法で営業の制限が掛けられ,一部駅ナカや広告はできるものの,基本的には運賃収入だけで経営を行わざるを得ない構造が要因の一つとなっています。私鉄は例えばベッドタウンを造成する,百貨店を造るなどの集客装置を両端に付けて,それを行き来する両建てでのビジネスを展開しており,今回大阪市営地下鉄も大阪市100パーセント出資の民間会社大阪メトロに移行したことによりIR予定地に大規模な開発を行う模様です。それに比べて,京都市は経営の幅が狭く,飛車角落ちで戦っているような状況であり限界があると考えます。そういう意味で,やはり公営企業から脱皮し,例えば京都市100パーセント出資の株式会社にすることで長期的な視点での経営の安定化につながると考えますが,いかがでしょうか。 さらに,公共交通が社会的インフラである一方で,電気,水道,ガスと公共交通の経営で大きな違いは基本料金の有無であると考えます。使う・使わないは別にして,基本料金によって一定のベースとなる安定収入があることと,乗客によっては年に数回しか乗らない,年間何百円だけしかないことでは経営の安定性に大きな差があると考えます。だからこそ,先ほど述べたように民間交通事業者は路線の前後に乗客誘導のための装置と言うべき施設を付け,安定的に乗客の確保をもくろむのですが,この基本料的な収入を確保するための取組を考えていくことが事業の継続性に必要ではないでしょうか。 現在,高齢者の方には敬老パスがあります。これは京都市の福祉政策でありますが,交通局の側から見れば一定額の収入を得る乗り放題サービスであります。例えば,こういった一定の基礎的な収入を増やす取組ができないかと考えます。月に1回乗るだけでは大変高額だけれども,月に20回乗ればとても安い。こういった大胆な全世代型の乗り放題サービス的なものを分かりやすく導入できれば,車離れの若者を中心に公共交通の利用促進につなげ,基礎的な収入増が見込めるのではないでしょうか。現在でも一日乗車券など似た趣旨で様々な企画券を発行されていますが,やはり分かりにくさは否めず,ICカードを使って利用者にも分かりやすく導入できないでしょうか。午前中にMaaSの話もありましたが,ただこういった新しい料金体系を考えるには基礎的なビッグデータが必要です。しかし,乗車の大きなウエートを占める敬老パスについては,平成17年に調査を行い,また平成24年にチェックを行ったとのことですが,現在パス交付1枚当たり,基本的に月16回乗車として運賃を掛け算した金額を保健福祉局から交通局に精算するざっくりとした支払を行っております。つまり,どのエリアでどれだけ乗車されているのかというエリア別,路線別の体系的なデータがなく,周辺部にお住まいの方がどれだけ乗車回数があるか,町なかの方はどうなのか,判然としない状況です。経営の安定化に向けた上記三つの提案に加え,たとえ費用が掛かったとしても市民の足が現在どのように使われているかの詳細を知るために,敬老パスのICカード化を行いつつ,観光客も含めた交通利用実態調査を行うべきと提案しますが,市長いかがでしょうか。 三つ目に,地域ぐるみで子供を育てる取組について提案します。市長は子供の生きる力をどのように育んでいくかについて継続的にお取組をされていらっしゃいます。今回私が提案したいのは,総合学習などでも御協力をいただいている地域にお住まいの研究者や学者,また職業人の方の力を今よりももっとお借りできないかということです。そのために地域の人材を一定の選考の下に認定し登録を行い,各学校が活発に外部人材を活用できる仕組み,地域の先生認定登録制度と言うべきものを作ることを提案します。それによって,お住まいの学区が違った方にも容易に連絡を取りお願いできることにもなりますし,また,極力土曜日は外部人材の授業とするなど教員の皆さんの負担軽減を行うことも可能ではないでしょうか。実際に,学校の先生だけでは準備が難しい物理や科学の実験や工作などをボランティアで担っていただいている方もいらっしゃるわけですが,地域で幅広いジャンルで子供への教育を進めることは,核家族化が進む現在の社会の中で,子供自身の将来の夢や選択肢が広がることにもつながるのではないでしょうか。比較的簡単にできると思いますし,担っていただく方にも頑張ろう,登録してみようという気持ちを持っていただけることと思いますが,市長いかがでしょうか。 最後に,消費税増税に関連して市長の政治姿勢を含め,御見解をお尋ねします。国と地方で公務員人件費27兆円,公務員給与や政治家の報酬はアップし続け,旧民主党政権と自民党安倍総裁との党首討論で言及された国会議員の定数の大幅削減もなく,これを放置しながら今回消費税アップがなされます。一体国の行政改革,政治改革はどこへ行ったのか,全く聞こえてきません。京都市は人員の適正化を進めてきてはいますが,いまだに市民1,000人当たりの職員数は指定都市で6番目に多いままです。京都市会議員のボーナスは5年連続アップ,市長の4年ごとの退職金は,門川市長の1期目に約4,000万円,2期目に約3,500万円,そして今回の予算でも御自身の退職金を3,400万円計上されていらっしゃいます。これを受け取ると,門川市長の退職金は累計で1億1,000万円になると言えます。 先日,我が会派が行った電話調査では,市会議員の5年連続ボーナスアップや市長の4年ごとの退職金について,実に75パーセント,4分の3の方が反対,賛成は1割にも満たない結果でありました。市長は教育無償化などで国民,市民に還元されるから今回の消費税増税や地下鉄の運賃改定は理解されるとお考えでしょうか。ちなみに,維新が府政・市政を担う大阪では,自ら改革を進め,市民に還元する形で料金の値下げ,幼児教育無償化を進めております。本当に増税の前にやるべきことはなされたのでしょうか。また,プレミアム商品券やキャッシュレス決済でのポイント還元も,その恩恵が本当に必要な人に届くのでしょうか。これらについても,分かりにくさなど御高齢者の方を中心に諦めの声すら聞こえてまいります。今回の議案では消費税アップによる使用料や手数料,地下鉄運賃をアップする議案がずらっと並んでいます。国から言われてそのまま市民負担アップでよいのですか。消費税アップについて,また今回の運賃,手数料アップの適切性について,また,市長は退職金をまたもや受け取られるのか否かを合わせて,市長の御見解を自らお答えください。以上で質問を終わります。 さて,私は,左京区の皆様をはじめとする市民の皆様からのお声を真摯に伺い市政に届けることを心掛けて活動を行っております。京都市の財政の構造的な課題について議論を進める,新税議論を提起する,ホテル誘致などの方向性については住居地域と観光地域のゾーン分けをはっきりさせるべきだと訴えるなど京都市の未来に向けた大局的な視点での議論はもちろん,当選すぐの代表質問で地域のお声を受け,宝ヶ池トンネルの歩道拡幅を訴えたり,公園でのボール遊びの問題を取り上げるなど今まで政治と疎遠であった子育て世代の身近な課題に寄り添い,この4年間で議会での質問項目は300を超えました。政治が変われば社会は変わる。その実感を市民の皆様と共に分かち合いたい,その一心で走り通してまいりました。この場をお借りして,今後とも一層精進することを市民の皆様へお誓い申し上げるとともに,更に市政改革に努めさせていただけるよう御支援・御声援をお願いし,私の代表質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 宇佐美けんいち議員の御質問にお答えいたします。 大阪・関西万博についてでございます。本市では,この間,誘致に向けた働き掛けを姉妹都市はもとより様々な機会を通じて行うとともに,市民的な機運の向上が大切であるとのことで,多くの市民の皆様の署名も集めてきました。この度の開催決定につきましては,関西広域連合や経済界をはじめ,オール関西でのこれまでの誘致活動が見事に結実した結果であり,多くの方々と喜びを共有すると同時に,東京一極集中を是正し,関西から日本を元気にする契機とするべく決意を新たにいたしております。本市といたしましては,特に「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした万博が大阪・関西で開催されることは,本市の強みである健康,医療の先端技術をはじめ,文化・芸術,歴史,食文化などを世界に発信する絶好の機会であります。この機を最大限にいかすため,京都においてどのような取組をすべきか,現在,主催者において検討されているサテライト事業も含め,オール京都でしっかりと検討してまいります。 また,2021年には,関西を舞台に生涯スポーツの祭典であるワールドマスターズゲームズ2021関西ジャパンが開催され,この大会の開会式は京都で行われます。この大会と大阪・関西万博をしっかりとつなぎ,京都はもとより,関西,日本全体の発展に貢献してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 交通事業についてお答え申し上げます。本市におきましては,市バスと多数の民間バス事業者が相互に補完し合い,切磋琢磨しながら市内全域のバス路線網を構築し,それぞれが市民生活に不可欠の公共交通機関として重要な役割を担ってまいりました。今後とも,各事業者が利用者本位の立場でそれぞれの路線を守りつつ,しっかりと連携を深めていくことが市民の足を確保することにつながると考えておりまして,経営の一体化・広域化についての考えは持っておりません。 次に,公営企業の経営形態についてでございます。大阪市営地下鉄は,戦前から運営され,当初建設費の減価償却を終え400億円近い黒字を計上する御堂筋線といったドル箱路線などを持っております。1,000億円もの利益剰余金を有していたからこそ,株式会社化,そして関連事業への大規模投資も可能となったものと思っております。一方,本市でございますが,東京,大阪とは都市の規模も異なります。東西線の建設がバブル期に重なり多額の建設費を要したことなどから3,000億円もの累積赤字を抱えており,株式会社化は不可能であると考えております。引き続き,公営企業として経営の健全化に努めつつ,着実に成果を挙げるべく全力を傾注してまいります。 公共交通の運賃でございます。電気料金等とは異なり基本料金という考え方にはなじまない部分もございますが,ICカードを用いました全世代型の定額乗り放題サービスにつきましては,既にICOCA定期券やPiTaPaの定期相当サービスを導入しております。ICカード利用率は平成30年12月時点で,市バスで31.5パーセント,地下鉄で60.8パーセントと年々向上しておるところでございますので,市バス・地下鉄事業経営ビジョン案にも掲げますとおり,便利なICサービスを充実させ更なる利用率の向上に努めてまいりたいと,このように考えております。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 田中行財政局長。 〔田中行財政局長登壇〕 ◎行財政局長(田中照人) 消費税の転嫁等についてでございます。消費税は,最終,消費者に転嫁されることが予定されている間接税であり,使用料や手数料などの公共料金についても,税負担の円滑かつ適正な転嫁を基本として対処することは,国が明確に示しているとおりでございます。したがいまして,本市においても,法の趣旨や国の通知にのっとり,本市会において必要な議案を御提案いたしました。サービスの提供に当たり必要となる経費には消費税が含まれているため,仮に,本市の消費税負担を使用料等に転嫁しなければ,施設等を利用しない方も含めた市民全体で負担することになり,受益と負担の公平性が損なわれ,不適切であると考えております。 なお,市長の退職手当につきましては,地方自治法及び本市条例に基づき支給しているものであり,原則,全国の自治体においても支給されております。その水準につきましては,民間企業における支給状況や他都市との均衡などを考慮し適宜見直しを行っており,門川市長就任以前と比較して,約16パーセント引き下げております。なお,市長の給料,期末手当につきましても,本市の厳しい財政状況等を踏まえ20パーセントのカットを継続しているところです。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 高城保健福祉局長。 〔高城保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(高城順一) 敬老乗車証制度についてでございます。本制度につきましては,高齢者の社会参加を促進し,健康長寿のまちづくりを進めるうえで重要な施策と認識をしております。一方,御指摘の方法等による積算に基づき交通事業者に対して交付金を支出しており,市税負担は来年度予算では49億円,今後は団塊の世代が70歳以上となるなど,更なる負担の増加が確実な状況となっております。このため,本市では,京都市社会福祉審議会答申で示された利用実態が正確に把握でき,利便性の向上も期待できるICカードの導入を基本とした考え方を踏まえて,見直しの検討を進めております。 また,この間,制度の内容や課題について市民アンケートを実施し,市民しんぶんにその結果をお知らせするといった取組を進めてきました。引き続き,持続可能で,かつ制度本来の目的に沿った,より多くの高齢者の皆様が使いやすいものとなるよう,慎重に検討を重ねてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 教育における外部人材の活用についてでございます。本市では,地域の子供は地域で育てるという理念の下,これまでから伝統文化や福祉,環境,食育,農業,国際理解など,様々な分野で豊富な知識や技能を持った地域の方々に,子供たちの豊かな学びと育ちを支える活動に御支援をいただいてきております。こうした京都ならではの地域力と人間力をいかした活動を,行政区を超え,広く全市の学校に結び付け,ネットワーク化を図り,より一層活躍していただくため,各学校で実績を積んでいただいた方が学校の推薦を受け,わたしたちの新しい先生として教育委員会に登録する制度を平成12年度から創設しており,現在,約1,300名の方が登録され,昨年度は延べ約1,800名の方々に御指導いただき,学校からも子供たちの興味・関心・意欲が高まり,教育効果も大きいと,そういった声が寄せられております。今後とも,この制度の一層の周知・活用を図り,本市の宝である豊かな経験をお持ちの地域の方々の幅広い御参画により,市民ぐるみ,地域ぐるみの教育を推進してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) これをもって質疑を終結いたします。 田中たかのり議員。 ◆(田中たかのり議員) 議事進行について動議を提出いたします。 ただ今議題となっております議第1号から議第67号,議第69号から議第74号,議第76号から議第107号,議第110号,議第111号,議第263号及び議第266号から議第274号の117件については,現在設置されております予算特別委員会に付託のうえ,慎重審議願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり) ○議長(寺田一博) ただ今,田中たかのり議員から動議が提出され,動議は成立いたしております。 お諮りいたします。ただ今の田中議員の動議のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(寺田一博) 御異議なしと認めます。よって田中議員の動議のとおり決します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 日程第3ないし日程第13,議第68号京都市専用水道の水道技術管理者の資格に関する条例の一部を改正する条例の制定について,ほか10件,以上11件を一括議題といたします。 2月19日の議事を継続いたします。 本案は,ただ今お手元に配付してあります議案付託表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 日程第14,議第252号ないし議第257号及び議第275号平成30年度京都市一般会計補正予算,ほか6件,以上7件を一括議題といたします。 予算特別委員長の報告を求めます。予算特別委員長下村あきら議員。 〔下村予算特別委員長登壇(拍手)〕 ◆予算特別委員長(下村あきら) 本委員会に付託されました議第252号平成30年度京都市一般会計補正予算,ほか6件につきまして,審査の経過と結果を御報告申し上げます。 当委員会といたしましては,2月19日の本会議で付託を受け,20日に,第1分科会では行財政局,総合企画局,文化市民局及び消防局に対して,第2分科会では保健福祉局,子ども若者はぐくみ局,都市計画局,建設局及び教育委員会に対して,第3分科会では産業観光局に対してそれぞれ質疑を行い,21日に各分科会の報告を受けた次第であります。 今回の補正予算は,政府の防災・減災,国土強じん化のための緊急対策や風しん対策の充実方針等に積極的に呼応し,道路,橋りょうなどの防災・老朽化対策や風しん予防接種・抗体検査の無料化等を行うとともに,昨年の相次ぐ災害に対する復旧・支援について更なる予算確保が必要となったものや,見込みを上回った生活保護扶助費などに要する経費など,市税の増収や寄付金,国庫支出金及び市債等を財源として,総額72億5,700万円を補正しようとするものであります。 以下,審査の過程において論議されました主な事項について順次申し上げます。 まず,国の補正予算を活用した事業の推進につきましては,鉄道施設整備助成事業に関して,事業の詳細及び本事業で対象となる高架橋以外に耐震改修が必要な高架橋の有無と今後の対応,防災対策における交通アクセスの重要性に視点を置いた取組を進める決意などについて質疑や御意見があったほか,道路,橋りょう等の防災・減災対策に関して,防災・減災対策に取り組むうえで今回の補正予算において留意した事項,カルバート補修の際に同工法の採用が最適かどうかを検証する必要性,幹線道路における無電柱化の推進と河原町通以外の幹線道路における無電柱化の状況,飛来物等による電柱倒壊の危険性が高いと国が認定した緊急輸送道路約1万キロメートルにおける本市の対象箇所,防災・減災の観点から国費等も活用し無電柱化を推進する決意などについて質疑や御意見がありました。 また,風しん予防接種,抗体検査の無料実施に関して,31年度の受診券配布対象者ではない47歳から56歳までの受診希望者への対応方針,必要な人が予防接種及び検査を受けられるよう準備を進め周知を図る必要性,3年間の事業実施後の事業存続の見通しなどについて質疑や御意見があったほか,消防団用資機材整備に関して,消防団へのAEDの配置状況及び今回更新するAEDの選定基準と調達方法,今後2年間の国補助金の対象期間におけるAED以外の資機材整備の見通し及び整備に当たって団員の声を聴いて検討する必要性などについて質疑や御意見がありました。 次に,社会福祉施設の復旧,被災者生活支援等につきましては,民間社会福祉施設災害復旧補助制度の概要及び対象施設の災害別内訳,被災者住宅再建等支援補助制度と災害保険との併用状況の把握状況と併用可能であることを周知する必要性,財政が厳しい中にあっても引き続き被災者に寄り添った支援を行う必要性などについて質疑や御意見があったほか,倒木撤去に係る経費のうち国庫負担の対象となった要件の詳細,河川等に残存する倒木により大雨時に氾濫を招くことへの懸念及び危険性を予測し河川に残存する倒木を撤去する考え,樹木の所有者に対し倒木とならないよう日常の管理などを支援する必要性とその取組状況,財源更正により減額する一般財源を民有山林の間伐や危険木対策に活用する必要性と民有林対策への補助拡大の要請,近年災害が多発している現状を踏まえた今後の消防団員手当の予算額に対する見解,消防団員手当が一旦団に支給される理由及び団に支給した手当が実際に団員に渡っているかどうかの把握の有無などについて質疑や御意見がありました。 次に,社会福祉関連経費の過不足調整につきましては,年金など社会保障制度全体の中で生活保護制度の議論を進める必要性,障害者自立支援給付費の介護給付費及び訓練等給付費が当初見込みを下回った理由,65歳以上の方への障害者福祉サービスの財源を国に措置するよう求める必要性,京都府国民健康保険財政安定化基金からの貸付けに対する返済の原資及び将来の被保険者が返還しなければならない理由,基金からの貸付けではなく交付金として交付するよう府に要請する必要性などについて質疑や御意見があったほか,新入学学用品費(就学援助費)の充実に関して,支給単価見直しの経過と国において支給単価を1万円増額した根拠,他都市における国基準を超える支給単価の実施状況と本市における独自増額の検討,小学生と比較して中学生の就学援助の受給率が高い理由,所得基準から想定される対象家庭の割合よりも就学援助率が低い状況にある要因とその改善に向けた郵送による申請受付の検討要請などについて質疑や御意見がありました。 次に,京都経済センター整備費負担金につきましては,四条通地下道との連結通路のバリアフリー工事費が高額となった経緯,しゅん工間際である2月市会の補正予算でバリアフリー工事に係る予算を計上した理由,スロープ等の所有権の状況及び今後の管理区分並びに本市所有部分のみ管理することの確認,貸会議室等を利用する際の割引対象団体の範囲及び多くの団体が割引対象となるよう府に対して働き掛ける必要性,身近な貸会議室等として今後も中小企業会館を利用できるよう府に申入れを行う必要性,また,公共施設等整備管理基金への積立てに関して,市立芸術大学移転整備事業に対する寄付金受納の経過及び本市の事業に関心を持ち応援する方々に対し寄付等の働き掛けを行う必要性などについて質疑や御意見がありました。 次に,繰越明許費補正につきましては,保護施設整備助成に関して,周辺環境を踏まえた救護施設としての立地の適格性に対する見解,施設の性格に応じた適切な場所で開設できるよう選定し直す考え,本市が検討したうえでの場所選定ではなく運営事業者が所有する土地での救護施設開設を進めることでは地元住民の理解が得られないとの指摘,救護施設について指定管理者制度や民間移管を撤回し公設公営で運営することの要請,施設の入所対象者や性質が大きく異なる救護施設と緊急一時宿泊施設を併設する意義や必要性の有無,地域移行がメインとなる緊急一時宿泊施設を迅速に支援がしやすい市内中心部に設置する必要性などについて質疑や御意見がありました。 また,公共施設ブロック塀安全対策に関して,市営保育所における事業の進捗状況と繰越内容の詳細及びいつ起こるか分からない災害に対して子供たちが安心安全に過ごせるよう緊急に取組を進める必要性,市営住宅に存する倒壊の危険性があるブロック塀の撤去等に向けた今後の取組内容,旧公設小売市場使用者や隣地所有者との調整等に時間を要している理由などについて質疑や御意見があったほか,民間社会福祉施設に対するブロック塀撤去等に係る補助金の申請状況及び申請が少ない理由と今後の対応,民間保育所等整備助成及び民間保育所耐震改修助成の繰越しによる平成31年4月入所への影響の有無などについて質疑や御意見がありました。 また,大規模集約型林業モデル事業に関して,事業の概要及び本事業における森林組合の役割並びに調整の内容,境界明確化等の遅れを踏まえた今後の事業進捗の見通し,31年度早期に予算を執行し本事業を推進する必要性,地元や所有者等の意見を酌み取った事業推進の要望,昨年の災害前後におけるモデル地区内の所有者の意欲の変化の有無などについて質疑や御意見があったほか,中央市場施設再整備事業に関して,今回の補正予算の執行時期及び再整備事業完了に向けた決意,事業費抑制に向けた今後の取組などについて質疑や御意見がありました。 そのほか,大谷池災害復旧対策に係る土砂災害防止のための恒久的な対策の方向性及びしゅんせつ工事の今後のスケジュール,出水学区地籍調査事業の進捗状況と完了の見通し及び完了後の次期調査区域の考え,改元に伴う大型汎用コンピューター業務システム等の改修の準備状況及び万全の体制で取り組む必要性,元号と西暦の併記についての考え方及び市民が分かりやすいよう本市が発行するパンフレット等において西暦を併記する必要性,JR桃山駅等のバリアフリー化事業の繰越しにより,全体スケジュールへの影響が出ないよう事業者と連携して取り組む必要性,洛陽工業高校跡地に出来る新普通科系高校の位置付け,建設局の人員体制不足が繰越しにつながっていることへの危惧と体制拡充の必要性に対する認識などについて質疑や御意見がありました。 これらのほか,美術館再整備工事請負契約の変更について,追加施工が必要となる工事を事前に想定できなかったことに対する見解,事前の調査を十分にせずスピード感を重視した整備方針に対する疑問,インフレスライド条項の適用による労務単価上昇分を現場労働者の賃金に適切に反映させるため内訳を分かりやすく示す必要性などについて質疑や御意見があったほか,今回の補正予算全般に関して,市税が大幅な増収見込みとなった理由及び今回の補正予算における市税増収分の活用内容,市税の大幅な増収見込みにもかかわらず減収補填債及び臨時財政対策債を起債する理由などについて質疑や御意見がありました。 概略,以上のような審査の後,更に各会派等において御検討いただき,その結果を昨日の委員会で御発表いただきましたところ,次のとおりでありました。すなわち,自民党,公明党,国民・みらい,京都党,日本維新の会の各議員団及び無所属5名の委員は,いずれも原案に賛成する。共産党議員団は,議第253号,256号及び275号に反対し,その他の議案についてはいずれも原案に賛成するとのことでありました。そこで直ちに表決を採りましたところ,ただ今お手元に配付してあります委員会報告書のとおり,議第253号,256号及び275号は多数をもって,残余の議案4件は全会一致をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。 以上であります。これをもちまして委員長報告を終わります。(拍手) ○議長(寺田一博) これより表決を採ります。まず,議第253号,議第256号及び議第275号を一括表決に付します。本案は,委員長報告のとおり,原案のとおり可決することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(寺田一博) 多数であります。よって本案は,原案のとおり可決されました。 次に,残余の議案4件を一括表決に付します。本案は,委員長報告のとおり,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(寺田一博) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時18分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    寺田一博          副議長   湯浅光彦          署名議員  加藤昌洋          同     森田ゆみ子 △(イメージ)請願文書表「受理番号175」「学費・奨学金の負担軽減と若者の雇用改善」・請願文書表「受理番号176」「核兵器禁止条約の日本政府の署名と批准の要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号177」「介護保険料の引下げ等」・請願文書表「受理番号178」「義務教育までの子ども医療費に係る通院費も無料化」 △(イメージ)請願文書表「受理番号179」「教育条件の改善」・請願文書表「受理番号180」「全員制の中学校給食の実施」 △(イメージ)請願文書表「受理番号181」「京都市立高校の施設・設備の改善」・陳情文書表「受理番号164」「ゲストハウス事業者に対する指導(上京区行衛町)」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号165」「簡易宿所開設の指導等(上京区東堀町)」・陳情文書表「受理番号166」「崇仁保育所の民営化の中止」
    △(イメージ)議案付託表・予算特別委員会報告書...